2006年1月号の特集―ようこそ「io動物園」へ!

(p9〜19)

ようこそ「io動物園」へ!
 1996年7月号の創刊号でチョウセンオオカミを紹介して以来、イオの誌面にはチョウセントラやクロツラヘラサギ、クロテン、豊山犬とさまざまな動物が登場しました。今月のイオはひとつの「動物園」。平壌中央動物園から朝鮮大学校の鳥小屋まで、いろんな動物を充分に堪能してください。

朝鮮半島、多種多様な動物の宝庫

非武装地帯は「動植物の楽園」
 幅4キロメートル、東西258キロメートルの非武装地帯付近には、自然がそっくり残されている。それは民間人の出入りが制限され、無計画的な開発が禁止されてきたからだが、近年「動物の宝庫」「動植物の楽園」「生きている生態系」として注目されている。
 筆者がこれまで入手した資料を整理すると、ここに生息する動植物の種類は哺乳類11種、ハ虫類と両生類20余種、昆虫114種、魚類24種、鳥類58種、陸生植物361種、水生植物99種、稀貴動物11種、その他13種。朝鮮半島の中央部に位置するため北方系と南方系の生物が入り交じり、豊かな生態系をみせている。
 動物ではクサザミ、ジムグリガエル、カワウソ、キバノロ、ツキノワグマ、ジャコウジカ、ヤマネコ、チョウセンカモシカなど。鳥類ではヨシゴイ、コマオナガ、マナヅル、タンチョウ、トキ、ハゲワシ、チョウゲンボウ、ツルクヒナ、ヘラサギ、コウノトリが飛来。魚類ではイワナ、ヤマメなど。統一後、ここを自然公園として残そうとの声も多い。(司空俊・元朝鮮大学校教授地理学博士)
絶滅の危機救うため「熊女」が南へ 〜北のクマは智異山に〜
 われわれは同じ民族、同じ建国神話を持っているじゃないか−。「檀君神話」に登場するトラとクマの交換は、そんな想いから生まれた。ユネスコの世界遺産、高句麗古墳郡の壁画にも描かれている「白虎」(ホワイトタイガー)を南が北に贈り、絶滅の危機に瀕(ひん)している「民族のオモニ」を救うために北が南に「熊女」(ツキノワグマ)を贈ることになったのだ。
 2004年7月に、先に白虎が北に向かった直後に関係が悪化し、クマがやって来なくなってしまった。一刻の猶予もない南はその年の10月にロシア産のクマを智異山に放った。待ちに待ち望んだ「ウリクマ(=わがクマ)」が来たのは、2005年4月。2度目の「動物交流」で南北は26頭を交換し、北からやって来た8頭のクマは、南の人たちの熱い思いを背負って智異山に消えた。だが、2頭がイノシシ用のわなにかかって死んだ。果たして6頭は厳しい冬を乗り越えられるのか…。分断の冬ごもりからさめる統一の春が待ち遠しい。(キム・ファン)
「統一トラ」誕生秘話 〜野生チョウセントラの遺伝子を残せ〜
 きっかけは1頭のトラだった。「南北動物交流」は、1999年に野生のチョウセントラのメス「ランリム」(写真)が、平壌からソウルに来たことからはじまった。すでにトラが絶滅している韓国は、日帝時代に生け捕りにされて外国に輸出されたチョウセントラの子孫を「逆輸入」していた。しかし、ランリムは違った。93年4月に慈江道狼林郡で生後6〜7月のときに捕獲された「正真正銘」の野生のトラなのだ。
 ランリムは野生の遺伝子を受け継ぐ「統一トラ」を産むべくやって来たが、元野生の荒々しい(?)性格がわざわいしたのか、彼女に「結婚」を申し込むオスは現れなかった。そんなおり、北からやって来たオスのライルが、ソウルオリンピックのマスコットだったホドリの娘、ホンアと「結婚」。2002年6月に「統一トラ」が生まれた。公募によってつけられた兄弟の名前は、統一コリアを意味する「コア」と「リア」に決まった。(キム・ファン)
朝鮮希少種3連発in平壌中央動物園
豊山犬、コウライキジ、キバノロ
セウリの鳥一家、現在75羽なり
朝鮮大学校鳥類繁殖飼育サークル
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