全羅南道・潭陽郡:竹とともに生きたタミャンの人々
広告
竹のある場所に村があり、村のある場所に竹があった—。
竹は古から庶民の暮らしに息づいた植物だった。
ここ潭陽はテナム(竹の木)の産地だ。
オモニの竹かごにアボジのサムテギ
清らかな空気を運ぶテナム
オモニが日々使う竹かごに竹の皮で作った甕、畑に出るアボジが使うサムテギ(삼태기、あじか:土を運ぶ竹の編み物)とトリケ(도리깨、殻竿)、そして子どもたちの寝床も竹で作られた。
潭陽の竹は弾力性が強く、この地の匠は竹でかごや笠(갓)などの工芸品を作り生計を立てた。かつてはその品質の良さから朝鮮八道はもちろん、中国やモンゴルにも輸出されたという。最盛期には、「タミャンサラム(潭陽の人)の3人のうち2人は竹で食っている」という言葉があるほどだった。
古から潭陽の人々の周りにはいつも竹の木があった。毎年5月に潭陽ではテナム祝祭が開かれ、観光客でにぎわう。
竹林に入ると、冷たく清らかな空気が流れる。竹の村・潭陽は奥ゆかしい香り、先人の繊細な趣が香る町だ。
文・写真:柳洙(民族21)