静岡朝鮮初中級学校
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今月のウリハッキョ
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海まで歩いて10分! 「新幹線通学」する子もいます
駿河湾まで歩いて10分のところにある、静岡初中。晴れた日には屋上から伊豆半島が一望でき、ときには全校生で海辺まで行って昼食を楽しむこともあるという。その時は、ちゃんと海辺のゴミを拾うなど「エコ活動」もするんだとか。
学校が位置する静岡市は県のちょうど中心。市内からは市内バスや自転車で通学するが、東西に広い県ゆえに、浜松から新幹線に乗る児童・生徒もいる。
同校の特徴はなんといっても学校全体がアットホームな雰囲気だということ。最年長である中級部3年の 莉奈さんは「全校生みんなが大らかでフレンドリーな関係」だとにっこり笑う。「児童・生徒数が少ない学校の特徴を利点と捉え、それを生かそうとすることが大事。教員たちの意識の変化にかかっていると思う」と語るのは、朱寧春校長(52)。同校では、人数が少ない中でも全校生的な交わりや活動を通じた集団性を養う取り組みや、子どもたちが個々に持つ力を伸ばしていくための指導が、意識的に行われている。
そんな中、7月11日には「韓国強制併合100年静岡共同行動」という運動の一環として、市議会議員をはじめとする日本市民27人が同校を訪れ、授業参観と交流会が行われた。参加者たちは一様に、教員たちの指導力の高さや民族教育に注ぐエネルギーに感銘を受けた、と感想を残したという。
もちろん、児童・生徒数を増やそうという取り組みは現在進行形だ。学校では月に2回の土曜児童教室が開かれ、日本の小学校に通う同胞の子どもたちのための民族教育が行われている。しかし、遠くて来られない子どもたちもいるため、近いうちに東は沼津、西は浜松を拠点とした児童教室を開設しようと模索中だという。
また朝鮮幼稚班がない中、学齢前の子どもたちとそのオモニたちの集いである「K-kids」がその存在感を発揮している。2003年から続くこの会では、普段から同世代の女性たち同士、子育てについて語り合ったり、子どもとお遊戯を楽しんだり、そして年に一度のクリスマス会などを通じて親睦を深めている。
保護者を中心とした同胞たちも、学校を支えるために一肌脱いでいる。伝統ある同校のオモニ会では定期的に給食を子どもたちにふるまったり、図書室整理や校内清掃、さらには日本のお祭りに店を出して売り上げを学校にカンパしている。また近年活動が下火になっていたアボジ会も昨年4月に再構築され、運動場整備などの「労働」や、財政バックアップを通じて積極的にサポートをしているという。
さらに20、30代の若い同胞青年たちの中で、学校への関心が高まり、足を運んでくる顔ぶれも増えたそうだ。今年の5月には、運動会を控えた学校運動場の草むしりを、同胞青年たちが率先して行った。ここ1年ほどの間に若い世代の交流が活発になったことから生まれた、相乗効果とも言えるのではないか。
また、未来の子どもたちのための財産としての、教育環境リニューアルに向けた計画も進んでいるという。