東大阪朝鮮中級学校
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今月のウリハッキョ
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唯一の中級部のみの朝鮮学校、クラブ活動も勉強もがんばっています
数多い朝鮮学校のなかで、東大阪中級だけが唯一、中級部のみの学校である。しかし、生徒数は350人にものぼり、「周囲の日本の中学校より生徒数は多いです」と康和正校長(55)。学区も広く、茨木市や高槻市など北部を除く大阪府の広い地域から生徒たちは集まり、奈良や和歌山、兵庫の尼崎市、三重からも通う生徒がいるという。来年に創立50周年を迎えるが、卒業生は8000人以上になる。
取材で訪れたのは、ちょうど運動会の練習の日だったのだが、普通、朝鮮学校の運動会は紅青の2組に分かれて勝敗を競うけれど、東大阪中級では各学年が1班から4班まであるので、班対抗の運動会が行われており、非常に活気に溢れていた。
同校の自慢は多いが、まず挙げられるのがクラブ活動が活発で優秀な成績をおさめていることだ。全校生徒全員が何らかのクラブに所属して活動している。
サッカー部は今年山口県で行われた「第41回全国中学校サッカー大会」に出場、1勝を挙げ見事ベスト16に入った。全国大会出場は4年ぶり4度目。大阪府内でも強豪校として名を轟かせている。部員数は現在64人。創部から10年目を迎えるラグビー部は、部員数が52人とこちらも大所帯。大阪市の春季大会で優勝し、現在、府大会を闘っている。同校でラグビーを学んだ生徒らが大阪朝高へと進み活躍しているのだ。文化クラブも民族器楽部、吹奏楽部などが多くの大会で好成績をおさめている。クラブは他に、バスケット部(男女)、バレー部(男女)、柔道部、卓球部、陸上部、放送口演部、美術部、合唱部、舞踊部がある。
現在同校がもっとも力を注いでいるのは、学力向上。「勉強模範学校」を目指して全教員、全生徒が取り組んでいる。生徒同士、2人がひと組となって、一緒に勉強しお互いに教えあいながら学力を高めている。勉強の中でも中心となるのは朝鮮語で、同校では正しい朝鮮語を学び日常的に使うための「世宗模範運動」という運動を独自で繰り広げている。
保護者たちも学校を様々な形で支えている。オモニ会では、ゴキブリ駆除のための「ゴキブリ団子」の販売などで財政を確保し、この3年間、新入生の机とイスを新しくしたり、給水機を購入したりしてきた。また、子どもたちが楽器を思い切り演奏できるようにと防音設備も付けた。各クラブ活動への支援も盛んだ。サッカー部を支援するサッカー部後援会があるし、各クラブごとに年に1~2回、保護者が集まり学校で焼肉パーティーを開いて交流を深めている。
日本学校との交流も盛んで、近くの田島中学校とは3年生同士が毎年訪問しあって文化交流を行っている。今年4月には、高知県の城東中学校が修学旅行の際に、在日朝鮮人問題を学ぶため同校を訪問したそうだ。また、文化クラブの生徒たちが中心となり「コマ歌舞団」として日本の学校を訪問し、民族学級などで朝鮮の言葉や歌、踊りを披露しているという。「生徒たちはスポーツや芸術のいろんな大会に出場する機会が多く、そのたびに一人ひとりが朝鮮学校の素晴らしさを日本社会にアピールしています」と康校長は誇らしげに語ってくれた。