往復書簡~在日コリアン次の百年へ第2部-vol.1
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21世紀に生きる在日朝鮮人に
とって民族とは?
河庚希 ●カリフォルニア大学サンディエゴ校エスニック・スタディーズ博士課程在籍
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高演義 ●朝鮮大学校客員教授・フランス文学
「在日」を「在日」たらしめているもの
河庚希
高演義様
はじめまして。河庚希と申します。今回、イオの誌面を通じて高先生と「民族」について理解を深める対話の機会が与えられたことを嬉しく思います。私にとって「民族」とは日本を離れることで初めて意識化されたものでした。「往復書簡」第2部を始めるにあたり、まずは今回のテーマに関する私の問題意識を明らかにするために、中学時代に経験した出来事からお話します。
〈民族〉であること―百年の被差別史が物語るもの
高演義
河庚希様
お手紙、ありがとう。一読し、新鮮な驚きを覚えました。日本を離れてかえって民族を意識化したとか、オーストラリア国境での「再入国許可書」取調べに面食らったといったあなたの体験談にのっけから目をみはった。あ、これは私自身の体験じゃないか、と。こんな不思議ってあるのですね。かつて、そう、今のあなたくらいの年令の頃、私はヨーロッパ出張の機会がよくあって、国境越えのたびに「(旅券なき)在日朝鮮人なる種族は一体何者なのか」と執拗に詰問されたものです。