息子がイジメに遇いました− 柳美里
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息子がイジメに遇いました。
二月九日水曜日、給食後の昼休みに、息子は幼稚園からいっしょのAくんに「鬼ごっこをやろう」と誘われて、校舎裏の駐車場に行きました。
「鬼ごっこ」に加わったのは、Aくんの他にBくん、Cくん、Dくん――、五年一組の四人の男の子たちでした。
Aくんに「鬼」になるよう命じられた息子は、両手で顔を覆って、「もぉいいかぁい」と言いました。
「まぁだだよぉ」という声の代わりに、四人の男の子たちは息子めがけて一斉に石を投げつけたのです。
リュウ・ミリ●作家
1968年生まれ。神奈川県出身。鎌倉市在住。1993年、「魚の祭」で第37回岸田戯曲賞受賞。1997年、「家族シネマ」で第116回芥川賞受賞。2008年10月、朝鮮民主主義人民共和国を訪問。近著に「ファミリー・シークレット」がある。