ネトウヨとの闘い、在日との出会い
広告
ぐるぐる時評
ネット上や日常生活の中で感じる右傾化する日本社会の諸問題を取り上げている。ツイッターともうまく連動させている。http://d.hatena.ne.jp/takamm/
【ネトウヨの台頭に仰天】
ブログを始めた時、中国や朝鮮半島、在日朝鮮人について書くことになるとは思っていなかった。ブログは経済書やノンフィクションの書評を書くつもりで開設したのだった。ところが2010年後半、尖閣列島海域での中国船拿捕事件と延坪島近海での韓国・朝鮮の軍事衝突事件が相次いで起き、書く内容が大幅に変わってしまった。日本社会がいかに右傾化し排外主義的になっているかを思い知らされたからだ。
まず、インターネット上では膨大な数の「ネトウヨ(ネット右翼)」が反中国、反朝鮮、あるいは在日朝鮮人差別の言説を振りまいていた。私が驚いたのは言説のひどさだけではない。ネットという公共空間で悪意に満ちた言動が放置されていることだった。
こう書くと「何と鈍い奴」と思われてしまうかもしれないが、実は私は、ここ何年間 、個人的な事情により社会的な問題から意識して遠ざかっていた。さらに、米国の情勢を見ても大統領が好戦的なブッシュからリベラル色の強いオバマに変わっていたし、日本では韓流ブームも起きていたので世界は敵対から融和へと向かっていると思いこんでいた。
【第二次朝鮮戦争勃発の恐怖】
そして昨年11月に起きた韓国・朝鮮の軍事衝突事件。この事件で朝鮮による砲撃の前に韓国の軍事演習が実施されていたという事実、さらに朝鮮が再三、この演習中止を韓国に要請し続けていたという経緯―を、日本政府とマスコミが無視し続けたことには愕然とせざるを得なかった。
このような事件では「何がきっかけか」は決定的に重要なはずである。にもかかわらず日本では、最初から間違った認識が植えつけられてしまい、米・韓によって再開された軍事演習について、日本のマスコミは「朝鮮への当然の懲罰」と報じることとなった。だが、そもそもの衝突のきっかけが韓国の側にあるとしたら、これは「懲罰」ではなく、朝鮮への挑発行為ということにならざるを得ないはずだ。この挑発に対し、朝鮮ははたして自重してくれるだろうか。私は第二次朝鮮戦争勃発の恐怖におののいた。
【忘れられないツイート】
そうした中、始めたばかりのツイッターでたまたま出会ったのが、在日朝鮮人たちのツイート(つぶやき)だった。特に昨年のクリスマスイブに接したminsu615氏のツイートは今後、忘れることはないだろう。
「隣で次女が『今日はサンタさんがプレゼントくれる日やで?』と笑っている。 …一歩外へ出ると、子どもが学ぶ権利すらもらえず、戦って勝ち取らないといけない地である。その権利でさえも再びもぎ取られるという、そんな国に住んでいるんだよと、そろそろ伝えなければならない」。
私は最初、ネトウヨから信じられない下劣な言葉で玩弄される在日朝鮮人のツイートを見て「気の毒に」と思っていた。だが考えてみたら、差別する主体が日本人である限り、それを解決するのは在日朝鮮人ではなく、あくまで日本人でなければならないはずだった。そんな当たり前のことに気づくと、「差別」という問題がいかに重く、広大であるかがおぼろげながら感じられ、無力感にさえとらわれる。
とはいえ、それでも私はネトウヨとツイッター上で罵り合っている。前述のようにいったんは「問題」から離れた私だったが、自分の心を偽らずにいようとしたら、結局戻ってこざるを得なかったということだろう。非力ではあるけれど、ここから逃げることだけはしたくないと思っている。
イオ編集部より3つの質問Q1:ブログを始められた動機は? A:経済本の書評を書き、同じ関心を持つ人と交流したいと考えていた。 Q2:ブログを通して一貫して訴えたいことは? A:特定のテーマはないが、遠慮せず書きつつ諧謔精神を忘れないようにしたい。 Q3:お薦めのブログがあれば紹介してください A:藤永茂「私の闇の奥」 |