往復書簡~在日コリアン次の百年へ第2部-vol.3
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21世紀に生きる在日朝鮮人に
とって民族とは?
河庚希 ●カリフォルニア大学サンディエゴ校エスニック・スタディーズ博士課程在籍
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高演義 ●朝鮮大学校客員教授・フランス文学
「最良のとき」を信じて
河庚希
高演義様
高先生。パレスチナ人であるサイードもかつて同じようなことを言いましたね。「帝国主義に対する民族主義の抵抗は、その最良のときには、常に自己批判的であった」と。在日朝鮮人の抵抗の歴史もまた自己批判を繰り返し、時代の移り変わりや同胞社会の多様化により、さまざまに形を変えてきました。そして、その過程で在日朝鮮人の「民族性」は絶えず変化し豊かになってきたのだと思います。
<民族>論の彼方の世界をイメージする感性をこそ!
高演義
河庚希様
鋭いサイード論に、納得。在米パレスチナ人の彼の言説が私たち在日朝鮮人の胸を打つ訳は、①共に第三世界的状況に置かれた者同士であるという事情もさることながら、②彼がコロンビア大学の高名な学者であっても決してスぺシャリストの高みからでなく常にアマチュアの目線で人民の声を代弁したからであり、そして③タヒャンサリ(異郷暮らし)の身でありながらも死の瞬間まで片時も、祖国/民族を語ることをやめなかったからであると思います。