深刻な状況にある福島第1原発事故
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深刻な状況にある福島第1原発事故
元原子炉格納容器設計者・後藤政志氏に聞く
今も漏れ出ている放射性物質
―福島第1原発事故の現在の具体的な状況を教えてください。
私がこの間、一番心配していたのが1号機です。各炉の圧力容器の温度を見ていると、今はすべて200度を切っていて2号機、3号機は100度ちょっとの温度ですが、1号機はそれに比べると高くて200度を少し下回っている程度だからです。水がきちんと入っていなくて炉心が充分に冷却できていない可能性があります。今後の対策として、圧力容器を覆っている格納容器の中に水を入れて、圧力容器を外側から水漬けにして冷やすということが考えられています。「水棺にする」とよく言われていますが、このことです。格納容器に水を入れるという方法は以前から提案されていました。
しかし、私は非常に危ない方法だと思っています。格納容器は本来、水を入れるような構造にはなっていないからです。格納容器の鉄板は20~30ミリありますが直径が大きいので、直径に対しては非常に薄い。1000トンも水を入れますから、地震がまた来たら、重い水が揺れます。揺れると容器にシワがよったり最悪の場合壊れたりします。容器が耐えられるのかが心配なんです。東京電力は問題ないと言っていますが…。