往復書簡~在日コリアン次の百年へ 第3部―vol.1
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21世紀、在日朝鮮人が直面している問題とは?
金哲秀 ●朝鮮大学校政治経済学部准教授
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金優綺 ●在日本朝鮮人人権協会事務局、朝鮮大学校非常勤講師
多様性を容認しつつ、いかに民族的なものを育むか
金哲秀
金優綺さんへ
いつも楽しみにしている往復書簡のコーナーで旧知の優綺さんと語り合えることを嬉しく思います。第3部のテーマは「21世紀、在日朝鮮人が直面している問題とは?」です。大きなテーマですが、とりあえず在日朝鮮人社会内の変化とその推移から問題を探ってみましょう。
現在(2009年末)日本で外国人登録をしている「朝鮮・韓国」籍者は57万8495人です。うち「特別永住者」の数は40万5571人で、2000年と比較すると約10万人も減少しています。
民族差別と性差別によって分断されていく在日朝鮮人社会
金優綺
金哲秀様
金先生、お手紙ありがとうございました。精力的に研究・活動をされている金先生とお話できることを光栄に思います。
まず金先生が紹介してくださった伊丹市の調査ですが、なるほど民族の言葉や文化を育むより先に、民族差別の激しい日本社会で生きてきた自分たちと同じような経験を子どもにさせないために、教育の場では少しでも安定的な将来に近い進学・就職を求める親たちの気持ちは、まだ親になったことのない身分で恐縮ですが、なんとなくわかるような気はいたします。