九州朝鮮中高級学校
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今月のウリハッキョ
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語学関連の多彩な行事
生徒たちのスキルアップに
北九州きっての学園都市として大学や高校が数多く並ぶ折尾駅界隈の中で、一番「駅近」な学校が九州朝鮮中高級学校だ。2004年に新しく建て替えられた校舎はまだまだ新しく、体育館など立派な教育施設も完備されている。
九州中高は何よりもまず、生徒たちの語学能力を高める教育に重点を置いている。その代表が、年間5回行われる「語学実技発表会」(中級部2年から)。英語スピーチ(中2)、朝鮮語雄弁文発表(中3)、日本語ディベート(高1)、英語スピーチ(高2)、朝鮮語ディベート(高3)など、各学年ごとに課題が決まっていて、1人ひとりの生徒が全校生徒の前で実技を発表する。
また、年に1回「ウリマル発表会」がある。これは中・高のクラスごとに朝鮮語能力を競うという催し。声を合わせて朝鮮語の歌詞を読んだり、しりとりやなぞかけ競争をしたり、詩をつくったり…、「お題」はさまざまだ。取材日の放課後には、発表会に向けての練習が各クラスで行われていた。
その他の特徴として同校は、高級部2年時から生徒たちが文系・理数系に分かれてクラスを編成し、そこで学校独自の選択授業を受けられるようになっている。文系クラスではまず、英語演習か朝鮮語演習の授業いずれかを選択でき、各種検定試験合格などに役立つ内容を学べる。その他、簿記もしくは美術の授業も受けられる。高級部3年時には週1回、小論文の授業がある。
理数系クラスでは高級部3年時、生徒たちが授業内容を正確に理解して学力アップを図れるように、朝8時からの「0時間授業」を週2回実施しているという。
同校には福岡県外から通う生徒たちのための寄宿舎がある。寄宿舎の食堂ではたくさん並ぶおかずの中から、自分が食べたい品を好きなだけ皿に盛って食べることができる。「食堂アジメ(おばさん)」の愛称で生徒たちから慕われる呉正子さん(74)は「生徒も食べものの好みがある。献立は栄養バランスを考えながら決めています」と話す。
寄宿舎生たちは現在8人。みな仲むつまじいという。しかし昔に比べ、寄宿舎生は少なくなったというのが現状だ。そこで最近、日本学校に通う小中学生を対象とした「1日体験入学」の試みが初めて実施された。これには福岡県外からも佐賀、大分、鹿児島、山口県出身の生徒たち11人が参加。授業参観や寄宿舎生たちとの交流(宿泊も)をふりかえって「とても楽しかった」と感想を残す生徒もいたという。この取り組みは今後も継続していくそうだ。
九州全域の同胞たちが集まる拠点である同校は、2011年に創立55周年を迎えた。卒業生・同胞のみならず、「北九州朝鮮学校を支える会」や「福岡朝鮮学校を支援する会」など、民族教育に対する理解を示してくれる日本市民たちによる支援の輪も広がりを見せている。