京都朝鮮第1初級学校
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京都朝鮮第1初級学校
今月のウリハッキョ
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鴨川沿いのウリハッキョ
多彩な取り組みで基礎学力をアップ!
映画「パッチギ!」の舞台で知られる、京都最大のコリアンタウン・東九条。京都における民族教育は、ここ京都朝鮮第1初級学校から始まった。1946年、京都市立陶科小学校の校舎を借りて、児童273人、教員5人で歩みだした同校は、昨年創立65周年を迎えた。
朝8時半、徒歩、通学バス、電車などで登校した児童たちがまず先に向かうのは、校舎から独立した職員室。ドアから顔をのぞかせて先生たちに、「アンニョンハシムニカ!」、一日が始まる。
同校は近年、児童らの、読み・書き・計算といった基礎学力を高めるための教育に力を入れている。毎朝の読書を習慣化、研究発表会、ウリマル習字コンテストなどさまざまな取り組みを行っている。
部活動はサッカー部と舞踊部、そして学校草創期から日本全国に名をとどろかせている、伝統ある伽耶琴部。近年は舞踊部の活躍もめざましく、近畿地方芸術競演大会の創作群舞部門で2年連続金賞を受賞、優秀作品にも輝いた。
付属幼稚班は、リトミック、スイミング、朝鮮舞踊、京都朝鮮歌舞団の朝鮮民謡教室など多様なカリキュラムが魅力だ。月2回のサッカー教室は、日本のクラブチーム・AS.ラランジャからコーチを招いて練習を行うなど本格的。言語教育においては、イマージョン教育を取り入れ、幼少期からの体系的なウリマルの習得を目指している。
また2010年度から、日本のこよみ通りの運営と延長保育を実施するなど、保護者のニーズに応えるため教員たちが一丸となって努力している。
保護者の熱意が高いのも同校の特徴。学期に2回の絵本の読み聞かせはオモニ会からの提案だ。また、オモニ給食はもとより、毎夏子どもたちが心待ちにしているのが、中庭で行う流しそうめん。こちらはアボジ会が主催する。
地域社会との関わりも根強い同校。近隣の日本の小学校3校とは、互いの学校を行き来しながら文化・学術的交流を20年間つづけてきた。金志成校長(43)は、「言葉や歴史、文化といった民族心をしっかりと守りながら、地域社会と共生し、未来を開拓する力を育んでいきたい」と話す。
運動場がない同校では、1960年、校舎を新設した当初から、京都市と近隣住民の理解のもと、校舎向かいの勧進橋児童公園を授業や部活に利用してきた。しかし高速道路の建設や「在特会」(在日特権を許さない市民の会)による襲撃事件(09年)をきっかけに、さまざまな制約の中での学校生活を余儀なくされている。現在襲撃事件に関する民事裁判が行われているが、日本市民による支援する会「こるむ」が結成され、この問題を日本社会の問題として世論に訴える運動を推し進めている。
同校はいま、2月12日に行われる学校創立65周年記念学芸会に向け、練習真っ最中だ。取材に訪れた日は全体練習の日だった。「大きな声で!」先生の指導を受け、「ウリハッキョは心のふるさと」を、体を振って元気いっぱい歌う子どもたちの姿が微笑ましかった。
2月17日から3月3日までは、65年の歴史を振り返る写真展が同校講堂で開かれる。