往復書簡2012~第1部―vol.3
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往復書簡2012~第1部―vol.3
継続する植民地主義と分断に抗う
~在日朝鮮人とパレスチナ
岡真理 ●京都大学大学院人間・環境学研究科教授
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李英哲 ●朝鮮大学校外国語学部准教授
このようなことのすべてが起こらないこととしての祖国
岡真理李英哲さんへ
在日朝鮮人は「自己を祖国と統一することからも」引き剥がされた存在、という李さんの言葉について考えました。パレスチナ人も同じ歳月、「自己を祖国と統一することから」引き剥がされた存在です。彼らが帰還すれば、「自己」と「祖国」は統一されるのでしょうか。あるいは、「祖国」に居る「私」は、自己と祖国が「統一」した存在なのでしょうか。
帰るべき、とどまり続けるべき「問い」
李英哲
岡真理さんへ
日本に産み落とされ、もっぱら否定形として民族・祖国と出会わざるを得ない朝鮮人の多くが、それゆえに分断と自己分裂に見舞われるなかで、「祖国」とは、また祖国の(との)「統一」とは、南北朝鮮という「土地」の統一という第一義的な課題である以上に、不断に問い続けるべき、葛藤に満ちた「問い」そのものであるということを、岡さんの重い問いかけに対し、再び述べておきたいと思います。