今を読み解くブックガイド
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例えば、福島原発事故だけをとっても、情報の錯綜や混乱があり
日本が今後エネルギー政策をいかに進めるのか、よく見えてきません。
混迷を深める現代社会ですが、一つひとつの問題を読み解くには、
「本」の存在が欠かせません。読書の中から求める答えが
見つかるのではないでしょうか。人類がつみ重ねてきた「知」を、
私たちは書物として手に取ることができるのです。
特にこの春、人生の新たなスタートを切った人たちに、
イオ編集部からの読書のススメです。
△分野別・本の紹介/国際情勢
複雑さを深める21世紀の世界を理解する
浅井基文(元広島市立大学広島平和研究所所長)
『実践論・矛盾論』
『世界政治―進歩と限界』
『南北首脳会談への道』
△分野別・本の紹介/経済
閉塞感漂う資本主義経済のオルタナティブ
李俊植(朝鮮大学校政治経済学部准教授)
『超マクロ展望 世界経済の真実』
『新自由主義-その歴史的展開と現在』
『懐かしい未来-ラダックから学ぶ』
△分野別・本の紹介/社会
歴史意識と変革の理論を獲得するために
広野省三(編集者)
『ギリシャ共産党は主張する―もう一つの世界は可能だそれは社会主義だ!』
『反原発の思想史―冷戦からフクシマへ』
『神聖喜劇』(全五巻)
△分野別・本の紹介/在日朝鮮人問題
祖国の分断、日本の「狂乱」の中で
金泰植(獨協大学・聖心女子大学 非常勤講師)
『日朝国交樹立と在日朝鮮人の国籍』
『記憶の火葬―在日を生きる いまは、かつての<戦前>の地で』
『韓国野球の源流―玄界灘のフィールド・オブ・ドリームス』
●エッセイ
本を読むことは、呼吸をすること、すなわち「生きること」
張守基(神戸朝鮮初中級学校教員)
「一杯のカクテルが人の人生を変えることがある。」というのは、とある小説の冒頭の文だが、「一冊の本」が人の人生を変えることもあるのだろう。
私は小5の頃に、たった一人で無人島に漂着した経験がある。頼るべきものもなく、毎日が死ぬか生きるかのサバイバル生活を送った。強烈な体験だった。きっかけは、担任の「面白いよ」という一言と、私の前に差し出された一冊の本だった。それは、ポプラ社の少年少女文学館シリーズ「ロビンソン漂流記」(デフォー作)といって、その本のずっしりとした重みは今でも思い出すことができる。