西神戸朝鮮初級学校
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西神戸朝鮮初級学校
今月のウリハッキョ
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4・24の魂が息づく学校、
広く地域社会に支えられ
朝8時、初めの通学バスが学校に到着。運転しているのは玄勇哲校長(44)。8時半、2台のバスが続けて到着した。「アボジ号」と「オモニ号」で、地域同胞社会の学校に対する愛情を象徴するようだった。西神戸初級がある場所は1948年の4・24教育闘争の発祥の地。後で触れるが、関西においてもっとも歴史のある朝鮮学校のひとつであり地域同胞たちの民族教育への思いはたいへん強い。
授業が始まる前や休み時間には男女関係なくみんなが校庭に出てきてボールをけったりバレーをしたり、走り回ったり…。「私も何校かで教えてきたが、これほど児童たちが外で元気に遊ぶのは西神戸ならではです。学年に関係なくみんなが仲がよく、上の子たちは下の子たちの面倒をよくみます」と校長先生。互いに助け合う気持ちが強く、集団生活に長けているのだと言う。
同校では現在、5つの生活目標を定めている。①ウリマル(朝鮮語)の習得とウリマルでの生活、②友達と仲良く、共に助け合う、③学校を愛しいつもきれいに、④しっかりとあいさつする、⑤読書を楽しみ意欲をもって勉強する―の5つで、また学校として2年間、学習模範学校を目指し運動を進めてきた。
1時間目の授業が始まる前、講堂に低学年の子どもたちが集まっていた。低学年活動としてウリマルや民族のリズムであるチャンダン、民謡などを学ぶ場として設けられている。
取材で教室を回って写真を撮影しても、児童たちはほとんど気にすることなく授業に集中していたし、付属幼稚班のこどもたちも「アンニョンハセヨ」とかわいくあいさつをしてくれた。
同校の自慢は、部活動が活発なことで、男子はサッカー、女子はバレーと舞踊、そして男女の部活として器楽部がある。サッカー、バレーは全国的に強豪として知られ、舞踊部は芸術競演大会で毎年金賞を獲得している。
保護者を中心に地域同胞たちの学校に対する関心が高く厚い支援を日常的に行っているのが同校の特長だ。
オモニ会は朝鮮学校の中で最も古い歴史を持つと言われている。焼肉のタレを独自に作って販売したりネットオークションに出品したり、地域の日本のお祭などに売店を出したりと、様々な方法でお金を集めている。アボジ会も年に2度の労働奉仕が恒例となっている。保護者だけでなく、多くの人々が「一口運動」に参加しており、広く学校を支援している。毎年行われる愛校節(バザー)は地域全体が取り組む行事になっており毎年多くのお金を学校に寄付している。
「道で同胞に会うと『児童数は増えましたか?』などと必ず学校に関していろいろと質問を受けます。それだけ関心が高い。年配の同胞だけでなく若い世代もたいへん協力的です。それも卒業生だけでなく日本学校を卒業した若い世代の同胞たちも支援してくれる。同胞たちも頻繁に来てくれるし、学校も同胞たちが訪ねて来られる機会をたくさん作り、学校の実情を理解してもらうようにしています」と玄校長は語る。
下校のための最後の通学バスが出るのが夕方の5時半。共稼ぎなど事情がある保護者のために延長して学校生活を送れるようになっている。付属幼稚班は夏休み冬休みにも何日かだけをのけて運営していて、同胞たちから好評を受けているそうだ。