和歌山朝鮮初中級学校
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和歌山朝鮮初中級学校
今月のウリハッキョ
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きょうだいのように仲よく、
愛校心を持って育つ子どもたち
1950年代初、和歌山県南部の初島、箕島、湯浅、新宮、田辺にあった午後夜間学校が発展し、1958年に和歌山朝鮮第1初級学校が創立した。一方、和歌山市内の北手平、松江にも午後夜間学校があり、それを母体に1959年、和歌山朝鮮第2初級学校が創立する。この二つの学校が統合し中級部が併設され和歌山朝鮮初中級学校が誕生した。1961年のことだ。現在の場所に立派な校舎が建てられ移転したのは1973年。学校建設運動に560人もの同胞が参加したというから、和歌山における同胞たちの民族教育に対する思いの強さがうかがえる。それは現在も同じだ。
取材に訪れた前日の日曜日には学校支援のためのチャリティゴルフが行われた。「保護者を中心に、和歌山県で唯一の朝鮮学校を絶対に守らなければいけないという気持ちが強い」と朴志晙校長(36)は言う。オモニ会はキムチ販売のために毎週集まり梱包・配達をする。市内でイベントがあれば屋台を出してキムチやチヂミを販売する。「一口千円運動」には幅広い人々が参加し学校を支えている。
朴校長は、「そのような同胞の背中を見て大きくなる子どもたちは強い愛校心をもって育っています」と語る。学校でも、この学校がどのようにしてできたのか、どのように発展してきたのかをくり返し教えているそうだ。校舎を入った正面には、学校の成り立ちや昔からの写真が掲示されている。悩みは、卒業生が社会に出たとき、就職の問題などで大阪などで生活し多くが和歌山に帰ってこないことなのだそうだ。
和歌山初中の特徴を朴校長は、「幼稚園生から中学生までみんなきょうだいのように仲がいいこと」だと言う。中学生や高学年がボール遊びをしていて、低学年や幼稚園生が一緒に遊びたいと近づいても、嫌な顔をせず喜んで一緒にボールを蹴って遊ぶのだとか。春の遠足は、幼稚園から中学までみんな一緒に行くのが恒例になっているそうだ。中学生が小さい子どもの手を引いて歩く姿がいつも見られるという。
児童・生徒数が多くないというところを逆に生かして、学習指導が徹底されている。和歌山初中の子どもたちの学力の高さは評判で、卒業生の中には東大入学者もいる。部活動では、中級部の女子バレーボール部が有名だ。2009年に中央体育大会で優勝。和歌山市中学校総合体育大会で準優勝し県大会に出場している。初級部低学年は週1度のドッジボール、サッカー、高学年のサッカー部(男)、バレー部(女)は隣の南大阪朝鮮初級学校と合同チームを作り試合に出場する。
「学校教育の中で子どもたちをきちんと育てる、それがわれわれの役割であり、保護者や同胞たちの愛情に応えることになる」と朴校長は強調する。現在、同校では児童・生徒数拡大のために先生たちが先頭に立って取り組んでいるという。同胞の家々を訪ねることはもちろん、子どもたちを立派に育てることが拡大につながると朴校長。今後、そのような学校の姿をホームページや学校案内のパンフなどを充実させ外に向かってどんどん発信していきたいと意欲的だ。