北大阪朝鮮初中級学校
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北大阪朝鮮初中級学校
今月のウリハッキョ
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同胞、日本人が一体となり学校を支援、
地域密着型の学校目指す
午前、中級部生徒たちの読書の時間。静まり返った教室の中で全生徒が本に集中している。「坊ちゃん」「花まんま」「スクールウォーズ」など本は各自が自分で選んだもの。大阪には多くの朝鮮学校があるが、初中級学校はこの北大阪初中だけ。付属幼稚班の園児から中級部生までが同じ学校で学び遊ぶ。「園児から中級部生まで、みんな仲がよく家族的な学校」と言うのは中級部教務主任の金誠俊先生(44)。
同校が現在、力を入れているのがウリマル(朝鮮語)の学習だ。昨年から、幼・初・中とそれぞれの実情にあった運動を繰り広げてきた。「ウリマルの学習は教員からと、まず教員たちが決起集会をもって自らのウリマル能力を高めています」と玄完植校長(55)は語る。児童・生徒たちは定期的にウリマルの発表会を持つが、各学年でユニークな内容を考えて披露するそうだ。取材に訪れた日は文化祭の準備に追われていたが、文化祭も発表の場の一環で、中級部ではピビンパレンジャーを演じたとのこと。
同校中級部に通うことになる大阪福島朝鮮初級学校と深く連携をとっており、月に1度の合同授業を行うほか、部活動は月に2~3度合同練習をもっている。部活動は、中級部では男子のサッカーと女子のバレー、舞踊、民族楽器、初級部では男子のサッカー、女子の舞踊と民族楽器。初級部の第2部活動として男子の打楽器部、女子のバレー部がある。女子の舞踊部、民族楽器部は初中とも伝統があり、在日朝鮮学生中央芸術競演大会で常に優秀な成績をおさめている。
同校の特徴はなんと言っても地域の同胞社会、日本社会とつながりが深いことだ。玄校長は「地域密着型の学校を目指している。地域の同胞たちが集まる拠点となっているし、日本社会へわれわれのことを知らせる発信基地になっている」と語る。北大阪地域青商会をはじめ、女性同盟、朝青、商工会など地域の各組織が連合体を作って学校行事を支援するなど日常的に支えている。「特に若い世代の同胞たちに学校への関心を持ってもらうよう働きかけている。子どもができたらウリハッキョへという環境を地域全体でつくるのが大切だしできつつある」と父母会の朴光植会長(42)は強調する。
また、同校の父母会は東淀川区PTA協議会の正式なメンバーとなっている。区PTA協議会では月1回「見守るデー」という登下校の安全を守る取り組みを行っていて、地域全体が日本学校も朝鮮学校も関係なく共に見守っている。こうした取り組みは、10年前から始まった隣にある東淀中学との交流がきっかけとなった。現在も東淀中学とは互いの運動会や文化祭に参加しあったり、共に朝鮮料理を作ったりといった交流をもっている。地域の日本人による同校への支援も活発で、5年前には北大阪朝鮮初中級学校を支える会(愛称・アプロハムケ北大阪)が結成された。現在は、「高校無償化」への朝鮮学校の適用、大阪府・市の補助金再開を求める運動を積極的に展開している。