本をわたしに送った菅野さんの思い
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二〇一一年三月十一日の原発事故以降、南相馬に通っています。臨時災害放送局「南相馬ひばりFM」で週一のレギュラー番組「柳美里のふたりとひとり」のパーソナリティを担当しているということもあるのですが、テレビや新聞や週刊誌などのメディアが拾わない、「そこで暮らすひと」の声を直に聴こう、と毎回地元のひとの家や仮設住宅を訪ね歩いています。
七月末に、原町で暮らす、退職して十四年になる元小学校の先生、菅野清二さん(七十五歳)のお宅で晩御飯をご馳走になりました。(原発事故で農業を営めなくなった教え子とふたりで、わたしの番組に出演していただいた時、菅野先生は「アリラン」をリクエストしました。南相馬ひばりFMの公式サイトで聴けます。第十九回です。http://minamisomasaigaifm.hostei.com/index.html)
リュウ・ミリ●作家
1968年生まれ。神奈川県出身。鎌倉市在住。1993年、「魚の祭」で第37回岸田戯曲賞受賞。1997年、「家族シネマ」で第116回芥川賞受賞。2008年10月、朝鮮民主主義人民共和国を初訪問。近著に「ピョンヤンの夏休み」、対談集「沈黙より軽い言葉を発するなかれ」がある。