安倍首相、金融政策に対しても唯我独尊ですか?
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康明逸●朝鮮大学校経営学部助教
首相に復帰した安倍晋三氏は就任早々、日本銀行に対して2%の物価上昇(インフレ)を政策目標として受け入れるようけん制し、今後さらには雇用に対する責任をも課すと主張した。内閣の持つ日銀総裁の任命権と日銀法の改正をちらつかせながら、脅迫さながらに自らの政策を中央銀行に押し付けようとしているのだが、「中央銀行の独立性」を脅かす彼の主張は非常に危ういものである。 国の経済政策は、財政政策と金融政策に大別できる。財政政策を担う政府は、税制や社会福祉制度を織り交ぜながら、所得再分配を推進し経済の公平性を高めると同時に、公共事業によって雇用と有効需要を創出し、景気を刺激する。金融政策を担う中央銀行は、金利や貨幣流通量の調整を通じて、物価を安定させることをその使命としている。物価水準と通貨価値は背中合わせであることから、中央銀行は「通貨の番人」と呼ばれることもある。