岐阜朝鮮初中級学校
広告
今月のウリハッキョ
岐阜朝鮮初中級学校
創立:1961年12月5日 校長:朴九令 児童・生徒数:52人(うち付属幼稚班が4人) 学区:岐阜県全域 交通:JR柳津駅から徒歩30分 |
ウリマルあふれる学校生活、
生徒たちの読書熱も高く
現在、県内で唯一の朝鮮学校である同校は2年前に創立50周年を迎えた。今の校舎は1972年、各務原市から移転してきた際に建てたものだ。
岐阜初中の印象を一言で表すなら、「アットホームな雰囲気に満ちあふれた学校」だろう。幼稚班から最上級生の中級部3年にいたるまで、みなが「家族のような付き合いで仲がいい」(朴九令校長)。教員も20年以上のベテランが多くいて、地域のことは隅々まで知っているのだという。
ウリマル(母国語)教育に力を入れているのが同校の特徴の一つ。同校を訪れると、普段の学校生活の中にウリマルがしっかりと根付いているようすがわかる。幼稚班から中級部にいたるまで課外時間も含めて会話はすべて朝鮮語。幼稚班の教室では子どもたちが学齢前とは思えないほど流ちょうな朝鮮語を使っていたのが印象的だった。「長い間の取り組みの成果」だと朴校長は話す。
同校では児童・生徒たちに幅広い見識を身につけさせるため、昔から読書を奨励している。初級部1年から中級部3年まで朝8時50分から10分間の読書タイムが設けられている。朝鮮語のものを中心に本の種類は幅広い。初級部低学年は絵本、中級部に入るとイオなどで紹介されている時事的な内容の本も読むという。中級部は朝の10分間に加えて1時限目、3時限目の休み時間を利用して読書に励む。年間にハードカバーの単行本を40~50冊読む生徒もいるとか。「教員たちより読書量が多い生徒もいる。学年が上がるにつれて、質を追求するのも特徴です」(朴校長)。
同校では子どもたちのために図書室、音楽室、コンピュータ室などを常に開放している。授業の合間の休み時間を、本を読んだり楽器を弾いたりしながら過ごす児童・生徒たちも多いという。
クラブ活動は初級部、中級部ともサッカー部と舞踊部がある。正規のクラブ以外にも民族打楽器による「チャンダン」、楽器演奏、歌、美術などの課外サークル活動を行っている。年に1度の学芸会では課外サークルで取り組んだ作品を舞台に上げるという。
学校に対するサポートの面では、「最も強力な後援団体」であるオモニ会の存在が大きい。年間を通じてキムチをはじめとする物品販売で上げた利益を学校に寄付するなどさまざまな活動を行っている。一方、アボジ会も草むしりなどの肉体労働で貢献している。
2年前にウリ民族フォーラムを主催した県青商会はチャリティゴルフコンペなどの活動で学校をサポートしている。
朴校長は「どんな活動をするのにも外へのアピールを念頭においている」と話す。「地域の同胞、保護者の数は限られているので、地域の幅広い日本人に学校を知らせる取り組みは重要」だとか。
地域の日本人支援団体のサポートも大きな力になっている。たとえば、「ポラムの会」はワンコインカンパなどを呼びかけ、集まったお金を毎月学校に持ってきてくれるという。その額は現在まで数百万円にのぼる。
「和気あいあいとして民族的情緒があふれる学校」が朴校長の目標だ。「ここで学ぶ子どもたちの姿を通じて地域同胞や日本人が学校のために何かしたいと思わせるような場にしたい」。