行動意欲を引き出す秘訣:言葉はお金を超えられるのか?
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康明逸●朝鮮大学校経営学部助教
山本周五郎の短編に「経済原理」という作品がある。作品中唯一の成人である主人公の「売ってくれ」という不用意なひと言から、無心に魚捕りを楽しむ少年たちの童心に商人根性が芽吹き肥立ってゆく様を、人間味溢れる豊かな筆致で描いている。作中の子供たちに限らず、外界の誘因(インセンティブ)に敏感に反応しながら自らの行動を調整するのは、老若男女に通底する行動原理でもある。一般に、自らの行為そのものがもたらす楽しみや喜びを希求する心理的特性を「内発的動機づけ」と言う。他方、報酬や外的圧力、強制などのような外部の誘因に反応して行動へと至る心理特性を「外発的動機づけ」と呼ぶ。誘因の変更は、これら動機づけの変化を介しながら、人々の行動に修正をもたらす。以下にいくつかその例を挙げてみる。