神奈川朝鮮中高級学校
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今月のウリハッキョ
神奈川朝鮮中高級学校 創立:1951年4月5日 |
神奈川から広げる多文化共生
「学びと実践の融合」めざす多彩な取り組み
国際都市・横浜の、眺めのいい沢渡の高台に位置する同校は、60年にわたって地域における多文化共生と国際交流に貢献してきた。参加歴20年を越える「横浜港祭り」をはじめ、「アース・フェスタかながわ」「外国籍県民かながわ会議」など、地域で開かれる大小さまざまなイベントにおいて親善・友好を育んできた。近隣の日本学校との生徒・教職員間の往来も活発で、取材に訪れた日にも、明治学院大学の国際学部の学生たちが同校を訪れ授業を参観、生徒らと座談会を行った。来客にもごく自然に振る舞いコミュニケーションをはかる生徒たちの姿から、こうした光景が同校にとっては日常であることがよくわかる。
同校の特徴はまず、全国的に高い注目を集めている朝鮮語を基本とした日本語、英語の3言語教育だ。中高一貫教育ならではの6年間を見通した体系立った学習に力を注ぐ。「語学に関しては生徒たちにも自負がある」と張末麗教員。「学習に対するモチベーションを高め、自ら勉強する力、姿勢を育んでいます」と話す。授業を見て回ると、どの教室にも生徒らの明るく積極的な質問・応答がこだましていた。
同校では現在、創立65周年をめざして「学びと実践の融合」をテーマに掲げている。受動から能動へ、生徒たちの向学心と探究心をいっそう高めるべく、学期ごとに分科別研究会を開くなど、生徒の学力の担保となる教員のスキルアップにも磨きをかける。
生徒らの知的好奇心を掻き立てる色とりどりの学術イベントも同校の目立った特徴だ。2004年から毎年行われてきた語学行事には、朝・日・英の3言語による演劇、朗読、アフレコ、朝鮮語版「笑点」などユニークな演目が並ぶ。学校が大きな実験室と化す「科学祝祭」は、毎年、県下をはじめとする関東地方の朝鮮学校児童ら400人余りを招待し盛大に開かれるイベントとして、好評を博している。
クラブ活動も盛んで、とりわけ吹奏楽部は県の代表として「東関東吹奏楽コンクール」にも多数出場し、好成績をおさめている。美術部では近隣の日本学校との合同で「美術部展」を開催。男子バスケットボール部は、昨年の中央体育大会で初の優勝に輝いた。ほかにサッカー部、卓球部、空手部、陸上部、朝鮮舞踊部、民族器楽部がある。
そんな生徒らの学校生活を保護者をはじめとする県下同胞、地域住民らが支えている。地域青商会では毎年チャリティゴルフ「ウリカップ」を開催。オモニ会では物品販売などによる財政支援はもちろんのこと権利獲得運動にも精力的に取り組み、学校と緊密に連携を取りながら保護者間の交流・連帯を深めるためのさまざまな学習会も行っている。
今年2月、神奈川県による補助金カットの動きに伴って、「神奈川県知事による朝鮮学園に対する補助金の予算不計上に抗議し、撤回を求める県民会議」が発足。去る6月にはシンポジウムを開催し、7月からは第2回となる署名運動が本格化する予定だ。こうした根強い支援からも、同校が長年地域社会と手を携えて歩んだ足跡を感じられる。
高級部3年の崔景華さんは、「朝鮮人としての歴史やルーツをもっと理解してほしい。地域に根ざした活動に取り組み、神奈川中高を拠点に多文化共生を広げていきたい」と話していた。