【特別企画】世界の戦跡・平和博物館
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戦争の記憶を物質化して見せてくれる戦跡・平和博物館は、それぞれの国や地域が直接的
あるいは間接的に関わった戦争の姿を、具象的に伝えてくれる。戦争や虐殺があった
まさにその場に建てられた場合は、否応ない事実の力によって鮮烈な記憶を体感することができるだろう。
過去への旅、そこには現在と未来に向けたメッセージがある。
●祖国解放戦争勝利記念館(朝鮮・平壌市)
●ナヌムの家 日本軍「慰安婦」歴史館(韓国・京畿道広州市)
●朱鞠内・笹の墓標展示館(日本・北海道雨竜郡・朱鞠内)
●原爆の図 丸木美術館(日本・埼玉県東松山市)
●侵華日軍南京大屠殺遭難同胞紀念館(中国・江蘇省南京市)
●シロソ砦(シンガポール・セントーサ島)
●国立アウシュビッツ強制収容所博物館(ポーランド・オシフィエンチム)
●アパルトヘイト博物館(南アフリカ・ヨハネスブルグ)
●信川博物館(朝鮮・黄海南道信川郡)
●独立記念館(韓国・忠清南道天安市)
●済州4.3平和記念館(韓国・済州道済州市)
●沖縄県平和祈念資料館(日本・沖縄県糸満市)
●中国人民抗日戦争記念館(中国・北京市)
●戦争証跡博物館(ベトナム・ホーチミン市)
●JEATH戦争博物館(タイ・カンチャナブリ市街)
●ベルリン・ユダヤ博物館(ドイツ・ベルリン)
●ダッハウ強制収容所追悼祈念資料館(ドイツ・ダッハウ)
●アンネ・フランクの家(オランダ・アムステルダム)
●リヨン・レジスタンス博物館(フランス・リヨン)
●帝国戦争博物館(イギリス・ロンドン)
加害責任に向き合うドイツ、目をそらす日本
日本とドイツ、この両国は第二次世界大戦でともに戦いともに敗れた関係で、その戦後の歩みを比較されることが多い。その際にともすればドイツを理想化し、日本を何よりもダメな国として対照させる傾向がある。ここではドイツ現代史専攻の立場から、ドイツに基軸を置きつつ両国の違いを客観的に分析していきたい。
佐藤健生●拓殖大学教授
さとう・たけお●1947年、兵庫県生まれ。上智大学大学院文学研究科史学専攻博士課程満期退学。1970年代後半に西独・ミュンヘン大学に留学、以後ドイツの過去との取り組みを日本と比較しながら研究中。現在は戦後補償問題が中心テーマとなっている。主な共編著に『過ぎ去らぬ過去との取り組み 日本とドイツ』(岩波書店、2011年)がある。