円安の是非を考える
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康明逸●朝鮮大学校経営学部助教
1ドル=97.9円。本コラム脱稿時の円ドル為替相場である。昨年の同時点では77.9円だったので、円通貨の対ドル価値は一年間で26%も下落した計算だ。一般的に円安は、日本経済にとって有利だと言われることが多い。自国通貨価値の減価は海外における自国製品(輸出製品)の価格低下へと繋がるため、海外需要増が国内経済にとって好条件となるからである。
「『アベノミクス』の『3本の矢』、なかんずく大胆な金融緩和で、それまで円高・株安に苦しめられていた状況を一気に脱し、円安・株高を短期間で成し遂げたのは、『業績評価』になったと言えよう」(自民党メールマガジン2013年8月23日)と、与党内でも円安を「導いた」経済政策を自賛する声は多いが、果たして、昨今の円安は、現行政権の政策の「成果」であり、また日本経済にとって良い状況を招いていると言い切っていいものなのだろうか。