朝鮮大学校
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今月のウリハッキョ
朝鮮大学校 創立:1956年4月10日 |
民族教育の最高学府、
「オンリー・ワン」の強み活かす取り組み
東京の学園都市・小平に建つ朝鮮大学校は在日朝鮮人の民族教育における唯一の高等教育機関として57年の歴史を刻んできた。在日同胞社会を担う人材を数多く輩出してきた朝大は近年、多様化するニーズに応えるため新たな変貌を遂げている。
大学が教育理念と人材育成方針として掲げるキーワードが〝L・I・N・K・S”だ。これは、”Lead ership”(未来の在日同胞社会をリードしていく人材を育成する)、”Identification”(在日朝鮮人としての自己認識を深く、広く、豊かに追求する)、”Net-Work”(同胞青年たちとの固い絆を育て、朝鮮半島および世界の在外同胞と出会い、世界の人々と手をつなぎ合える国際人を育成する)、”Korean Cul ture”(民族意識と教養、集団性の土台の上にしなやかな主体性を育む)、”Science&Technology”(新時代を切り拓き、多様なニーズに応える専門知識と技能、実践力を身につける)の頭文字を取ったもの。
学部は政治経済学部、文学歴史学部、経営学部、外国語学部、理工学部、教育学部、体育学部、短期学部の8つ。高いレベルの専門教育を目指しながらも、専門知識や技能を現実世界の中で実践的に活かせる総合的な能力を養う目的でカリキュラムが組まれているのが特徴で、専門知識への橋渡しとなる基礎教育や基礎演習に力を注ぐ。在日朝鮮人としてのアイデンティティを豊かにするための民族科目も充実している。04年からは単位制を導入。初年度教育の強化、グループ学習やきめ細やかな個別学習サポートなど全寮制という環境を活かした教育も強みだ。母国語である朝鮮語と日本語、英語という多言語教育に加え、昨年からは4年制学部を対象に中国語の受講も可能になった。
クラブ活動も盛ん。体育系クラブとしては、強化指定クラブであるサッカー部、ラグビー部、ボクシング部、空手部に加えて、バレーボール部、バスケットボール部、テコンドー部、野球部がある。文化系には舞踊部、吹奏学部、民族管弦楽部といったメジャーどころ以外にもプンムルノリ(民族打楽器)や軽音楽団、演劇部、鳥類繁殖サークルなど朝大ならではのクラブが名を連ねる。
学生たちは「ウリウリコッポンオリ」などの育児支援活動、科学の楽しさを子どもたちに教える「トトリカ教室」をはじめとする社会活動にも積極的に取り組んでいる。同胞障害者支援のボランティア組織であるTuttiも朝大生によって結成されたもの。在日朝鮮人のルーツをたどる歴史実習や学部別の祖国短期研修などの各種実習も充実している。
朝大は学術研究・交流の拠点としての顔も持つ。2011年に設立された朝鮮問題研究センターは他大学との学術交流を盛んに行っている。昨年、同センター内に設置された在日朝鮮人関係資料室には1万2000点の貴重な資料が保存されている。クロツラヘラサギの繁殖・研究で名高い野生生物研究室や朝鮮歴史博物館および自然博物館など日本でここにしかない施設を多く有するのも朝大の特徴だ。
近年、卒業後の進路も朝鮮学校の教員、同胞団体・機関職員という従来からの主な就職先以外にも多方面に広がっている。弁護士をはじめとする有資格者、プロスポーツ選手、アーティストなど卒業生たちの活躍は以前にも増して目ざましい。 大学側では、3年後の創立60周年という節目に向け、朝大が持つ「オンリー・ワン」の価値を一層高めていくためのさまざまな取り組みを進めていくという。 (おわり)