生野朝鮮初級学校/付属幼稚班
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生野朝鮮初級学校/付属幼稚班
1991年4月/児童・園児233人/161世帯/学区:大阪市の生野区、平野区、住吉区、阿倍野区/交通:大阪市営地下鉄南巽駅から徒歩8分
子どもたちの学ぶ環境、もっと豊かに
2013年12月14日、冷たい師走の風が吹く校庭で、オモニたちはマフラーにニット帽の完全防備で挑む一方、もち米を炊くための火起こしに専念するアボジたちの額には汗が光っていた。この日は同校で毎年恒例で行われている付属幼稚班限定の餅つき会。
2週間前から前日まで仕込みに精を出し、当日は朝早くから準備に大忙し。3人の子を同校に送る看護師の馬場恵さん(39)は、夜勤明けにも関わらず笑顔で駆けつける。幼稚班オモニ会の責任者を務める申貞淑さん(45)は、「今年はみたらしにきな粉、いちご大福まであるんですよ!」と、得意気に話してくれた。待ちきれないようすの園児たちが校庭に飛び出し、いよいよ餅つき開始。園児たちの歌うウリノレに、アボジたちの杵を持つ手にも俄然力がこもる。
233人の児童・生徒が通い、初級部としては日本全国のウリハッキョで最大規模を誇る同校は、初級部のみならず幼稚班のオンマ・アッパたちの取り組みも活発だ。とりわけアボジ会は、2013年度から本格的に幼稚班単位で稼働するようになり、この1年間、学校支援にさまざまに取り組んできた。
競技から焼肉の準備まですべてをアボジ会が一手に引き受ける、幼稚班単独の運動会は今年で2回目。親子参加型の運動会では、アッパたちの三輪車競争で三輪車が大破するという珍事件も発生。今年は園児のみならず、就園前の子どもとその保護者も招待することで、園児受け入れにも一役買った。
夏には園舎に初めてエアコンを設置。体験保育など各種イベントのバックアップも担っている。幼稚班アボジ会会長の李勝日さん(36)は、「幼稚班は保護者として学校に関わる最初の時期。この時期にアッパ同士のつながりをしっかりと持つことが今後につながる」と話す。年長に子を持つ玄仁順さん(36)も、「アボジ会とオモニ会、互いに協力することで雰囲気も盛り上がった」と喜んでいた。
一方、初級部のアボジ会は発足から10年以上、チャリティゴルフをはじめとする財政面での支援や学校清掃などの地道な活動に力を注いできた。オモニ会でもバザーでの物品販売、年17回の給食、花壇の整備、図書室の管理・運営、読み聞かせなど、大小の支援のほかに、府と市に対して補助金の再開を求める「火曜行動」にも分担制で参加するなど、教育環境の抜本的な改善にも意識的に取り組んでいる。
保護者のみならず様々な同胞らによる支援が集まるのが同校の強みだ。中西青商会では約1000万円を投じて学校の屋上にソーラーパネルを設置。太陽光発電した電力を売電して財政に充てるという従来にない試みも生まれた。さらに2013年11月20日には、年間を通した地域ぐるみの学校支援のメイン行事として、同校児童と金剛山歌劇団による合同公演「つなげよう」を成功させた。学校を支えるたくさんの手と手は、「新しいウリハッキョ支援の形」を探りながら、大きな輪でつながっている。