届かない被害者の訴え~vol.16 在日朝鮮人の戦後補償問題
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植民地支配や戦争の被害を受けた人々に対する戦後補償において、日本は過去の反省と清算から目を背け、被害者の訴えを退け続けている。1990年代以降、被害者による訴訟が日本政府や企業を相手に相次いで起こされるが、そのほとんどが棄却された。
大企業の差別明らかに
日本の戦後補償の問題は、▼戦時中、アジア各地から集められた日本軍「慰安婦」、▼強制連行・強制労働、▼BC級戦犯、▼戦争に駆り出され傷ついた傷痍軍人・軍属など多岐にわたる。その多くが、自国民優遇政策や2国間協定で解決済みといった不誠実な姿勢によって不十分な形で幕引きを図られたり、未解決のまま残されている。背景には、第2次大戦後、米国の東アジア戦略の下で日本の植民地支配責任、戦争責任があいまいにされ、日本もそれを利用して責任から逃れてきたという経緯がある。朝鮮半島に関しては、60年代の韓日国交正常化の過程で日本側の謝罪と補償が不問に付された。朝鮮民主主義人民共和国とは国交がないため、賠償問題は未処理のままだ。