漫画の中の在日朝鮮人
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日本の中で文化の大きなジャンルとなっている漫画。日々生み出される漫画作品の中で、在日朝鮮人が登場するものはあまり多くない。漫画というジャンルにふさわしくないテーマなのだろうか。数少ない作品の中から手塚治虫や水木しげる、つげ義春ら巨匠が、在日朝鮮人をどのように描いたのかを紹介する。
在日朝鮮人が登場する作品7選
誰もが知る有名マンガからマイナー作まで、在日朝鮮人が登場する作品7編を紹介します。巨匠から意外な人まで、作者にも注目!
01 「わしは朝鮮人だ!それがなぜわるい!!」
『ながい窖(あな)』 手塚治虫
「サンデー毎日」増刊号 1970年11月6日号掲載
02 メガネ男の寂しさのわけは…
『さびしい人』 水木しげる
『奇人怪人大図鑑』(ちくま文庫)収録 1969年発表
03 原爆の悲惨さと日本の加害性を明確に
『はだしのゲン』 中沢啓治
1973年第25号から「週刊少年ジャンプ」に連載開始。その後、「市民」「文化評論」「教育評論」などの雑誌で連載が続けられた。単行本としては現在、汐文社版などがある。
04 水害で沈んだ朝鮮人集落
『近所の景色』 つげ義春
「紅い花」(小学館文庫)収録 1981年発表
05 愛の力は差別を乗り越えるか
『上を向いて歩こう!~ミョンヒの恋~』 福井美穂子
講談社『BELOVE』2002年6月15日号掲載
06 糾弾受けた差別表現
『おとこ道』 梶原一騎・矢口高雄
1970年~71年 「週刊少年サンデー」連載、梶原一騎原作漫画傑作選(道出版)などに収録
07 同じ安重根をテーマに視点の違う作品が
日韓共同作品集『海峡の向こうに』
2008年8月30日 発行:双葉社
漫画だから発信しやすい/漫画家・石坂啓さんに聞く
加害者・日本を描く
今回紹介していただいた「八月の友人」と「突撃一番」は、84年に描いたもので、私が20代の時の作品です。「週刊ヤングジャンプ」に掲載されましたが、担当の編集者が意欲的な方で、不定期ですがページをくださったんです。当時は、バブルに向かって世の中が浮かれていた時代でした。反戦とかまじめなものは、ダサいし売れないけれど、学園物のラブコメが主流で、面白おかしい作品の中に混じって、ちょこっと入れてもらったという感じでしたね。ジャンプ系の漫画はどれも売れていて余裕があったから異色なものも載せて遊ばせてくれたのと、まだあの時代だったから掲載されたのだと思います。今なら大手の漫画雑誌には載らないですよ。
石坂啓さんの作品紹介
・八月の友人 週刊ヤングジャンプ1984年7号に掲載
・突撃一番 週刊ヤングジャンプ1984年37号に掲載