排外デモを取材しました
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五月二十四日、NHKのETV特集「歴史と民族から考えるウクライナ」を見ました。
ギリシャ・カトリックを信じ、ウクライナ語を話すウクライナ系住民の割合が大きい西部、ロシア正教を信じ、ロシア語を話すロシア系住民の割合が大きい東部、両者より前にクリミア地方に居住し、イスラームを信じているクリミア・タタール人――、それぞれの民族的アイデンティティの根幹となる歴史的出来事を説明した丁寧な番組づくりに好感を持ちました。
しかし、元NHK解説委員長の藤澤秀敏氏の「ウクライナ人もロシア人も、元々スラヴ民族ですよね? それが今、ウクライナとかロシアというかたちで民族同士が戦うっていうのは――、我々にとっては、よく解らない状況が起きている」という発言には、「我々」とは誰のことを指しているのだろう、と首を傾げざるを得ませんでした。
リュウ・ミリ●作家
1968年生まれ。神奈川県出身。鎌倉市在住。1993年、「魚の祭」で第37回岸田戯曲賞受賞。1997年、「家族シネマ」で第116回芥川賞受賞。2008年10月、朝鮮民主主義人民共和国を訪問。近著に「自殺の国」がある。