パッピンスほのぼのライブ第1弾
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愛知でチャリティコンサート 色とりどりの舞台で「無償化」支援広く呼びかけ
愛知で「無償化」裁判支援のために企画されたチャリティコンサート「パッピンスほのぼのライブ第1弾」が7月25日、名古屋YWCAで行われた。「パッピンス」とは、あずきやフルーツ、ゼリー、アイスなど色とりどりのトッピングがされた韓国のかき氷。それぞれの味をいかし、ともに支援の輪を広げていこうとの思いが込められた。
会場には関係者、同胞、日本市民ら160人以上が足を運んだ。猛暑のなか訪れた観客たちは、「NPO法人こりあんネット愛知」からの差し入れである、お手製のパッピンスを食べながら楽しそうに開演を待つ。
午後6時半。司会の水谷朝子さんと金秀烈さんが元気に声を揃えてあいさつすると、会場からは期待のこもった拍手が上がった。
舞台には民族衣装に身を包んだ5人組が登場。韓国学校文化教室講師を務める張光恵さんとサムルノリグループ「ノリパン」による民族打楽器演奏だ。チン(銅鑼)の音に続いてチャンゴやケンガリが加わり、だんだんと高揚しながら迫力ある演奏を繰り広げた。
次に「人業劇団ひらき座」の代表である川瀬まゆみさんと、「出前ユニットぽこあぽこ」の神戸郁夫さんによる歌と演奏。平和を願って作られた沖縄の歌「月桃」、明るい曲調の「少年よ」をまっすぐな声で歌い上げた。また、さまざまな場面で音楽活動をしている安達元彦さんがピアノ伴奏で登場し、川瀬さんが語りと歌「思い出」を披露した。この曲は、小さい頃に朝鮮人差別をした作詞家自身の体験をもとに作られた作品だ。静まった会場に、力強い声が響いた。
この日、会場では現役朝高生と卒業生による感想も話された。愛知朝高1年の黄春陽さんは、「ビラ配りなどをしながら、励ましの言葉と同時に厳しい言葉もかけられた。朝鮮学校が大好きだから権利が平等に認められるまで頑張りたい」と話した。また、愛知中高の卒業生で留学同東海の金誠明さん(20)は、今回のライブをきっかけにぜひ裁判の傍聴にも足を運んでほしいと呼びかけた。
最後に、安達さんによるピアノ演奏と歌が披露された。「リムジン河」や「アリラン・メドレー」をピアノ演奏し、東京で裁判運動を続ける在日朝鮮人女性が作詞作曲した「ハムケ(共に)」などを温かく歌った。
会場を訪れた加藤豊裕さん(36)は、日本の公立小学校で教員をしている。一宮教職員組合の分会長をしながら、「無償化」問題などについての学習会も開いているという。「『思い出』が印象に残った。今で言うとヘイトスピーチのような言葉が語られていたが、歌詞を読むのではなく実際に聞くと、また会場の半分ほどは実際に在日朝鮮人の方々だと思うとドキッとした。とても充実したコンサートだった」と感想を話した。
チャリティコンサート呼びかけ人の1人である元美華さん(46)は、愛知朝鮮中高級学校のオモニ会副会長。愛知での裁判運動の主体である「朝鮮高校にも差別なく無償化適用を求めるネットワーク愛知」にも携わっている。
今回のコンサートは「ネットワーク愛知」のメンバーに限らず、一般の日本市民に広く呼びかけ賛同を募ることから準備を始めたという。半年ほど前から呼びかけをはじめ、賛同者は日本市民だけで60人を超える。また、普段は朝鮮学校と関わりのない個人同胞や団体からも賛同が集まった。
元さんはコンサートの成功を見ながら、「『ネットワーク愛知』だけでなく、差別はおかしいと感じていてもどのように支援したらいいかわからない人々に、小さなきっかけを与えられる場にしたかった。今後、より幅広く支援の輪が広がっていけば」と満足気に話した。
コンサートは和やかな雰囲気で幕を閉じた