戦争を人間の外に置いてはいけない
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わたしは、大勢の前で話をするのが苦手です。
おそらく小学校時代にイジメに遭い、対人恐怖症に陥ったことが原因だと思うのですが、人前に出るのがとにかく怖いのです。
公開対談は、依頼者や対談相手に恩義がある場合は、断れずに受けることもあります。壇上でわたしが聴衆に一方的に話さなければならない講演は、原則としてお断りしています。
例外が、今までに三回だけあります。
一九九三年七月十九日、神奈川県立川崎北高等学校の教室で高校一年生の生徒を前にして「自殺」をテーマに行った講演で、『自殺』(文春文庫)に全文が掲載されています。当時、わたしは二十四歳でした。
リュウ・ミリ●作家
1968年生まれ。神奈川県出身。鎌倉市在住。1993年、「魚の祭」で第37回岸田戯曲賞受賞。1997年、「家族シネマ」で第116回芥川賞受賞。2008年10月、朝鮮民主主義人民共和国を訪問。近著に「自殺の国」がある。