韓日「合意」になぜ抗うか ――日本軍性奴隷制という植民地犯罪を問う
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金優綺 ●在日朝鮮人ジェンダー史研究、2016.1.6水曜デモ連帯アクション呼びかけ人
「私たちはお金がほしくて(このような解決策を)求めているわけではない。犯罪国家として罪を犯したことを認めよということだ」――昨年末に韓国政府と日本政府の間で日本軍「慰安婦」問題についての「合意」が発表される前日の12月27日、両政府間の同問題に関する政治的な妥結を憂慮し、日本軍性奴隷制サバイバーの金福童さんがのべた言葉だ。
日本の国家犯罪認定が
欠落した「合意」
サバイバーのこうした声をまったく無視し、むしろ相反する内容として昨年12月28日に韓日両外相によって発表されたのが、両政府間の日本軍「慰安婦」問題についての「合意」であった。「合意」では、①日本が軍の関与と政府の「責任」を認め、安倍首相がおわびと反省の気持ちを表明、②被害者支援のための財団を韓国政府が設立し、日本政府が資金を一括拠出、③韓国政府が在韓日本大使館前の少女像に対して「適切に解決」されるよう努力、④この問題が「最終的かつ不可逆的に解決」されることを確認し、両政府が国連など国際社会での非難・批判を控えるといった内容が発表された。
一見すると、日本軍「慰安婦」問題について日本政府が「責任」を認め、「おわびと反省」をし、財団に資金も出すのだから、悪くない内容のように映るかもしれない。しかし「合意」には、同問題を克服するためには決定的に欠けてはならない「核心」が、完全に欠落している。
その「核心」とは、まさに金福童さんが指摘した通り、日本の軍隊と政府が主体となって「慰安所」制度を立案・設置・管理・統制し、朝鮮半島をはじめとするアジアの女性たちを性奴隷にしたという、日本が犯した反人道的国家犯罪に対する日本政府自らによる明確な認定である。
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