立場を越え、一つの音楽を響かせる
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二〇〇八年ニ月二十六日に、朝鮮民主主義人民共和国の平壌市内にある東平壌大劇場で、ニューヨーク・フィルハーモニック(NYフィル)がコンサートを開いた――、この歴史的な出来事は、その後の核やミサイルや拉致に関する膨大な「北朝鮮」報道に塗り潰され、今やごく一部の日本人にしか知られていません。
この公演を収録したDVD『NYフィル・イン・平壌』を是非、見てほしいのです。
一〇七分の本編は、朝鮮民主主義人民共和国の国歌「愛国歌」とアメリカ合衆国の国歌「星条旗」から始まり、ワーグナー「ローエングリン第三幕への前奏曲」、ドボルザーク「交響曲第九番 新世界より」、ガーシュウィン「パリのアメリカ人」、ビゼー「アルルの女 組曲第二番」、バーンスタイン「キャンディード 序曲」、管弦楽「アリラン」で終わります。
リュウ・ミリ●作家
1968年生まれ。神奈川県出身。福島県南相馬市在住。1993年、「魚の祭」で第37回岸田戯曲賞受賞。1997年、「家族シネマ」で第116回芥川賞受賞。2008年10月、朝鮮民主主義人民共和国を初訪問。近著に小説「JR上野駅公園口」(河出書房新社)、「貧乏の神様 芥川賞作家困窮生活記」(双葉社)がある。