今、外国人の人権は―人種差別禁止法成立に向け
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2009年から増え続けているヘイトスピーチ(差別煽動表現)は、日本政府が外国人の人権を無視してきた歴史と無縁ではない。今、国会では、日本の外国人政策を根本から見直し、マイノリティへのヘイトスピーチをなくすための法案審議が山場を迎えている。
いま一度、差別が放置されている日本の現状と法律の必要性を考える。
●「差別をなかった」とするシステム―メディア、司法、行政のゆがみを直視せよ
「差別だ」という指摘がなされると、必ずといっていいほど「いや差別ではない」との反論がなされる。いわく、「傷つけるつもりはなかったから差別には当たらない」「差別ではなく合理的な理由があるので区別だ」等々。被差別当事者にとってこうした議論に巻き込まれることは、自らが受けた被害を「当然のこと」とみなす攻撃的な価値観にさらされるのみならず、被害そのものを「なかったこと」にすらされる苦痛を意味する。差別の二次被害、三次被害だ。差別というのは多様な現象であるにもかかわらず、それを狭く捉えてしまうような「理解のゆがみ」があるとき、ゆがんだ理解に合わない訴えは「なかったこと」にされてしまうのである。
●日本初の人種差別禁止法なるか/国会で審議大詰め、ヘイトデモ止める実効性を
日本初の「人種差別禁止法」の制定に向け、国会が今、大きく動きだしている。
昨年5月に野党議員が人種差別撤廃施策推進法案を提出したのに続き、4月8日には与党がヘイトスピーチ法案を提出した。
●「日本国内の人種差別実態に関する調査報告書」にみる外国人差別の実態
2016年4月に「日本国内の人種差別実態に関する調査報告書」(人種差別実態調査研究会)が公表された。
民間の研究者たちによって作成された本報告書では各種の公的統計や調査に基づいて、
日本社会における外国人差別の実態がまとめられている。