どうする、ネット上のヘイトスピーチ-ヘイトスピーチ対策法施行、抑止に期待
広告
近年、インターネットコミュニティで、在日朝鮮人を含めた在日外国人などのマイノリティに対する差別的な言説が盛んに流布されている。ヘイトスピーチ対策法の施行(6月3日)を機に、ネット上のヘイトスピーチをめぐる問題を整理しつつ、抑止に向けた取り組みを探った。
野放しの差別発言
ヘイトスピーチの跋扈にインターネット、とくにソーシャルメディアの隆盛が果たしてきた役割は小さくない。代表的な排外主義団体である「在日特権を許さない市民の会(以下、在特会)」自体がインターネットを通じて勢力を拡大し、街頭での排外デモにつなげてきた団体だ。
「熊本の朝鮮人が井戸に毒を投げ込んだぞ」「不逞朝鮮人が暴動を起こそうとしてるってマジ!?」「熊本県民の皆さんは自警団を組織して自己防衛に努めてください!」
4月の熊本地震発生直後、このような流言飛語がツイッター上を駆け巡った。ヘイトスピーチが災害時のデマという形で噴出した一例だが、これを単なる「いたずら」と見過ごすことはできない。関東大震災後の混乱の中で起こった朝鮮人・中国人虐殺を思い起こさせる。この件からもわかるように、ネット上ではマイノリティを貶め、差別や暴力を煽るような言説がほぼ野放しになっているのが実情だ。