ウリ民族フォーラム2016 in 大阪
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力を合わせて、ターンオーバー! 民族教育と同胞社会の未来を守るために!
「ウリ民族フォーラム2016 in大阪」(主催=在日本朝鮮大阪府青年商工会)が9月11日、大阪朝鮮高級学校(東大阪市)の大阪朝鮮文化会館で行われた。20回目を迎えた今回は「ウリ民族フォーラム」に加え、同校運動場で「1万人の同胞フェスタ」も催され、終日大勢の人々で賑わった。
フォーラムのスローガンは「合わせよう! 我らの心。とどろかせよう!我らの力、笑顔に満ちた同胞社会の未来のために! ターンオーバー大阪」。ターンオーバーとは、「攻守逆転」を意味するラグビー競技用語だ。
第20回目を迎える記念すべき今年は、大阪朝鮮文化会館で行われる「ウリ民族フォーラム」(以下、フォーラム)と大阪朝高運動場で開催される「1万人の同胞フェスタ」(以下、同胞フェスタ)の2部構成で、内容、参加人数ともに史上最大規模となった。運動場には大型スクリーンが設置され、フォーラムのようすがパブリックビューイングでも楽しめるよう準備された。
今こそ、団結をキーワードに
フォーラムのテーマは「民族教育、同胞社会のターンオーバー」。第1章「トライ!民族教育ターンオーバー!」は、「よしもと新喜劇」ならぬ「KYCん喜劇」で幕を上げた。青商会メンバーと家族、地域同胞たちの日常を描き、大阪らしく随所に笑いを織り込みながらも、「ウリハッキョ(朝鮮学校)への補助金がカットされてもう5年になる」「ウリハッキョに子どもを送ろうか悩む」「生徒数も減っていて…」など、近年の朝鮮学校を取り巻く現状について問題提起がなされた。
続くパネルディスカッションではそのような問題提起を踏まえ、生徒数や学校運営(財政)について各学校の現状や取り組みが報告された(別枠)。発言者たちは、民族教育を取り巻く環境を「守り」から「攻め」に転換していくためには何が必要か、経験を共有しながら話し合った。司会を務めた邊容哲さん(38、大阪府生野西地域青商会常任幹事)は、「私たちはハッキョを守ることができる。大阪同胞たちが固く団結し実践していけば、必ず今の状況を打開することができます」と参加者たちに呼びかけ、パネルディスカッションを締めくくった。
次にスクリーンでは、「우리 미래 향하여!(私たちの未来に向けて!)」と題した映像が上映された。大阪同胞たちへのインタビューを通して、民族教育の過去・現在・未来について語られる。
「弾圧を受けたら涙が出るのではなく、お金が出て、力が出て、そうして同胞たちが団結して。そんな力強さを1世たちの姿から見てきた」。総聯大阪府本部・生野西支部の女性同盟顧問である夫敬子さん(74)は映像の中でそう語る。「いまお金がなくても、1年後に稼ぐつもりで学校建設のためにお金を出そう、そんな気持ちでみんなハッキョのために頑張った」。語られる出来事は過去の話だが、この言葉が語られるべきはまさに今なのだと、次の言葉が強く感じさせる。
「厳しい状況の中でも孫たちがウリハッキョの教員をしているということを本当に誇らしく思う。私たち1世はもう少ないけど、3世、4世…次の世代になっても、民族とウリハッキョは間違いなく守られるだろう」―総聯大阪府本部の西・西淀川支部の常任顧問を務める姜兌桓さん(81)の言葉だ。そこには後代に対する確固たる信頼と期待が込められていた。
第1章の終わりに流されたのは、短いアニメーション映像。シンプルながら温かいタッチで、「牛乳」をめぐる母と息子のエピソードが描かれる。「この牛乳が机になり椅子になるんだ」と1杯の牛乳を我慢し、子どもたちに民族教育を受けさせるために尽力した母への感謝、その意志を受け継ごうとの思いが、心のこもったナレーションで語られた。
新たな構想打ち出す
第2章「同胞社会ターンオーバー!」では、解放後の歴史と現在の同胞社会の状況について、ふたたびインタビュー映像が流された。
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「トンポサフェっていいね」
大阪朝高運動場で開催された同胞フェスタは、活気と笑顔で溢れていた。運動場周縁には「大阪食いだおれ食堂」と題して多くの売店が立ち並び、同胞たちは各店自慢の料理に舌鼓を打った。
舞台では、府内の朝鮮学校の児童・生徒たちや保護者、青商会メンバーたちが出演する音楽舞踊総合芸術公演「愛族愛国のバトンをつないでいこう」のほか、芸人「矢野・兵動」(よしもとクリエイティブ・エージェンシー所属)の漫才、大阪府青商会OBたちで構成された「ブリッジ」による合唱、中大阪朝鮮初級学校の保護者やOB、OGたちで結成されたロックバンド「NORIOCK」のライブ、また俳優・金すんらさんによるコンサートなど、盛りだくさんの演目が途切れなく続き、同胞たちを賑わせていた。
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