26年間、育まれてきた友情 青木小学校との交流vol.25 横浜朝鮮初級学校
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交換授業、朝鮮と日本の文化体験、スポーツ、音楽…。横浜朝鮮初級学校は、近隣にある横浜市立青木小学校とさまざまな分野での交流を25年以上つなげている。両校を結ぶきっかけになったのは、子どもたちの喧嘩だった。当時の横浜初級教員たちに話を聞きながら、交流の歩みを振り返る。
「どうにかしないと」
「相手が睨んできた」「石を投げてきた」「悪口を言われた」…。1990年代のはじめ頃、同じ学区内にある横浜朝鮮初級学校と横浜市立青木小学校の児童たちによるいざこざが多発した。横浜初級へと向かう坂道の途中で、両校の児童がすれ違う場所があるのだ。もとは小さな諍いだったのだろうそれは、だんだんと教員の耳にも入るようになってきた。
「いつの時代にもやんちゃな子っているじゃないですか。その時もちょうどそんな児童がいましてね」と当時、横浜初級で教員をしていた金学用さん(52、現・鶴見朝鮮初級学校附属幼稚園園長)は語る。そのうち、特定の児童たちの間で喧嘩が絶えなくなった。ある日、横浜初級に一本の電話が入る。
「青木小学校からでした。向こうも対応に困っていたようです。『子どもたちの喧嘩をどうにかしないと』とのことで、まずは教員同士が互いについてよく知ろうと両校を行き来しながら交流を始めたんです」(金さん)。毎日顔を合わせるのだから、あいさつできる仲になったらいい、そのためにはなにが必要か、など話し合いを重ねた。
そうして91年、児童同士の交流の第1歩は双方の学校を訪問するという形で実現。初めての試みながら喧嘩もなく、子どもたちはそれぞれに楽しい時間を過ごした。横浜初級の児童が、青木小学校の児童に「いつ朝鮮から来たの?」と質問され当惑する場面もあったが、金さんは「これから仲良くなったら、自分たちは日本で生まれ育ったんだよということを教えてあげたら?」と伝えたという。
この年、交流を記念して横浜初級には「アオキ」という名前の常緑樹が、青木小学校には朝鮮の花・チンダルレ(ツツジ)が植えられた。