特集「在日朝鮮人×舞台」
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観客の目の前で物語が演じられる。時に役者の汗や唾が飛んでくる。大きな会場よりも小さな小屋がいい。
表現者と観客が一体となってマダン(場)を作りだせるのが芝居(演劇)の一番の魅力だ。
在日同胞社会でも解放直後から多くの芝居が作られ、多くの問題が訴えられてきた。
多くの演劇人が活躍し今も活躍している。今月は在日同胞演劇の世界をご紹介します。
女性演劇人のきむ・きがんさん(劇団石)と金民樹さん(劇団タルオルム)の二人の対談から特集がスタートです。
女性演劇人×対談
芝居の力で同胞社会を活性化させたいね
きむ・きがん(劇団トル)×金民樹(劇団タルオルム)
Profile
きむ・きがん●1973年9月23日生まれ。在日同胞3世。劇団石(トル)主宰。役者・シンガーソングライター。日本、滋賀県を拠点に、一人芝居・演劇ワークショップ・音楽ライブなど、全国各地で活動中。パワフルな笑いの中に、常に社会的弱者に目を向けた作品を上演している。代表作にすべての生き物の尊厳を描いた「カンアジトン(こいぬのうんち)」、在日同胞の100年の歴史を描いた「在日バイタルチェック」、野宿労働者をテーマにした「民衆劇釜ヶ崎~おっちゃん達の人間宣言~」、部落差別の歴史と現状を描いた「人の値打ち~たまちゃんとはるちゃん~」などがある。
きむ・みんす●1974年9月15日生まれ。在日同胞2.5世。劇団タルオルム代表。演劇人。朝鮮大学校政治経済学部卒。05年に旗揚げした日本語とウリマルのバイリンガル劇団で、一貫して在日同胞のルーツや生き様を込めた作品を上演している。代表作に、阪神教育闘争を描いた「424の風」、日本の学校内で朝鮮人学生たちの学び場を作った日本教師を描いた「大空先生」、関東大震災時に朝鮮人虐殺を目撃したおばあさんの記憶を描いた「ゆらぐ」、幼くしてチェジュドから大阪に渡ってきた、在日1世の女性の一代記を描いた2人芝居「そのまなざしのむこう」などがある。
●ふたりの同胞演劇人
東京と大阪を拠点に、在日朝鮮人の生き様や生活を舞台上に描いてきた
劇団アランサムセと劇団May。主宰である金正浩さんと金哲義さんに、
演劇を通じて発信してきたメッセージ、作品をつくり 続ける意味について聞いた。
●作りたい 〝希望の舞台” 「埼玉やきとり物語」、1月28日に上演
総勢130人の同胞たちが出演するミュージカル「埼玉やきとり物語」
(同実行委員会主催、埼玉ハッキョチャリティ公演)が1月28日、彩の国さいたま芸術劇場で開かれる。
焼鳥屋を営みながら、わが子を育てあげた一人の女性の物語だ。
●Information
同胞歌劇「埼玉やきとり物語」
日時:2018年1月28日(日)
15時半~(15時開場)
場所: 彩の国さいたま芸術劇場 大ホール(JR「与野本町」駅徒歩9分)
チケット:3000円(当日券3500円)
問合せ:Tel.048-822-5111(実行委員会)
※舞台は朝鮮語で上演されますが、日本語の字幕がつきます。
●私の創作ノート
偶然のめぐり合わせで生まれるストーリー
金奈美(大阪朝鮮高級学校教員)
●舞台の上の青春
―苦しい人に演劇で寄り添いたい
洪美玉さん
Profile
1974年6月11日、神奈川県生まれ。小5で演劇部に入部。高2のアメリカ留学を機に演劇を本格的に目指す。日本大学芸術学部演劇科を卒業後、青年座の研究生に。99年、東京演劇アンサンブルの研究生となり、00年入団。主な出演作に「走れメロス」「第三帝国の恐怖と貧困」「ミラー」「泥棒たち」など。現在、音楽劇「消えた海賊」に出演し日本各地を回っている。
公演情報
東京演劇アンサンブル公演『ビーダーマンと放火犯たち』
上演期間:3/23(金)~4/1(日)
場所:ブレヒトの芝居小屋(西武新宿線・武蔵関)
HP(http://www.tee.co.jp/)
―内なる激情、舞台に乗せ
金仁三さん(激団リジョロ団長)
Profile
1974年11月6日、大阪府生まれ。関西学院大学に進学、同校の演劇サークルを経て98年に仲間と「リジョロ」を立ち上げる。2度の公演後、2000年に上京。メンバーを一新し、05年に劇団を再結成した。08年に「激団リジョロ」へと改称。“ハードコア”をコンセプトに、激しい表現手法で注目を集める。「団長」として、脚本、演出、役者を全てこなすほか、映像作品や他劇団の作品にも数多く出演している。
公演情報
第30回記念公演『Era(イーラ)』
東京公演:5/24(木)~27(日)@萬劇場
大阪公演:6/1(金)~3(日)@in→dependent theatre 2nd
HP(http://www.rigolock-hitman.com/)