【特別企画】解説・「徴用工」問題
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昨年10月30日以降、韓国の大法院(最高裁判所)は、植民地時代に日本企業に徴用され過酷な労働を強いられた朝鮮人被害者(以下、「徴用工」と表記)に慰謝料を支払うよう新日鉄住金(今年4月1日に日本製鉄に社名変更)をはじめとする企業側に命じる判決を相次いで下した。日韓の2国間関係を超えて、日本の植民地支配責任全般にも大きな影響を及ぼすであろう今回の「徴用工」判決をめぐる問題の基本的な事実関係を整理しつつ、今後の課題や展望についても見た。
「徴用工」問題Q&A
Q1:「徴用工」とは誰なのか
Q2:被害者が日韓両国で起こした裁判の結果は?
Q3:日本政府は「日韓請求権協定で解決済み」と言っているけど
Q4:これからどうなる?
加害の歴史と向き合う
謝罪と賠償求め
名古屋訴訟支援会、07年から街宣
毎週金曜日、東京・霞ヶ関の外務省庁舎と丸の内の三菱重工業本社前では「名古屋三菱・朝鮮女子勤労挺身隊訴訟を支援する会」(以下、名古屋訴訟支援会)による「金曜行動」が続けられている。被害者のハルモニたちの尊厳と名誉のために立ち上がった名古屋訴訟支援会の「金曜行動」は、3月22日に463回目を迎えた。
本質は被害者の人権救済
「弁護士有志声明」呼びかけ人 川上詩朗弁護士に聞く
大法院判決をめぐって、日本と韓国との軋轢が深まる中、「元徴用工の韓国大法院判決に対する弁護士有志声明」を呼びかけた川上詩朗弁護士。今回の判決をめぐる日本国内の反応、解決に向けて日本がとるべき行動について聞いた。
なぜ被害の回復は遅れたのか
解放直後の在日朝鮮人史から考える「徴用工」問題
鄭栄桓●明治学院大学教授
韓国の大法院(最高裁)が、元朝鮮人徴用工らへの損害賠償を新日鉄住金(現・日本製鉄)に命じた判決への日本社会への反応は、批判一色であった。1965年に結ばれた日韓請求権協定第二条1項は、両国間の請求権問題はこの協定をもって「完全かつ最終的に解決された」とした。にもかかわらず、韓国の司法は問題をむしかえし、あらたな紛争の「火種」をつくりだしている、65年の約束を守れ、の大合唱である。