年金2:保険料納付義務、免除制度も
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在日同胞が直面する生活上のさまざまな問題の解決法について、人生のステージごとにわかりやすく解説します。
文時弘 ●在日本朝鮮人人権協会
年金2
Q1:前回、説明したように、制度改正によって保険料支払い実績が7年しかなかったユンさん(72)も年金をもらえることになりました。ユンさん一家の中で年金に対する関心が高まっています。でも、年金保険料は絶対払わないといけないのでしょうか?
A:年金制度は、加入したい時に加入できる「任意」の制度ではなく、税金と扱いは等しく、外国籍住民であっても加入は法律上義務になっています。
サラリーマンなどの場合は厚生年金に加入しているケースがほとんどなので、給料から「天引き」される形で年金保険料を支払っています。厚生年金の保険料額は収入によって決まりますが、その半額は会社が負担しています。自営業の方や学生など、厚生年金に加入していない方が対象になる国民年金の年金保険料は、収入に関係なく一律月額17000円(固定)×保険料改定率で算出します(※)。
年金保険料を支払わずにいると強制徴収により財産を差し押さえられることもあります。年金保険料の徴収率が低い水準にあることから、政府は近年ますます保険料の徴収に力を入れており、強制徴収されるケースも増えています。
まず、滞納者には「催告状」が送られます。数度の催告を放置していると、「督促状」の送付を経て強制徴収の手続きが進行するケースが通常です。「督促状」を決して放置せず、保険料を支払うことが困難な場合は年金事務所もしくは管轄市町村役場の年金課で免除申請や分納の相談をしてください。支払いが督促状指定の期限を越えると、延滞金も加算されます。
2018年度の政府方針では、控除後所得300万円以上の者で未納月数が7ヵ月以上になる者を強制徴収の対象としていますが、この基準は年々厳しくなっています。「強制徴収集中取組期間」を設定するなど、17年度の最終催告件数は10万3614件、督促件数は6万6270件、そのうち実際に差し押さえに至ったケースは1万4344件となりました。これは前年度比で1割ほど増加しています。今後さらに厳格になると想定されます。
※2019年度は16410円。
Q2:保険料免除の制度もあるのですか?
A:免除制度は、保険料全額免除・4分の3免除・半額免除・4分の1免除の4段階の種類があります。それぞれ、所得に応じて(※)利用できる範囲が変わります。
たとえ全額免除をしたとしても、その期間分もしっかりと年金額に反映されます。現在10年間の加入が老齢年金受給の要件ですが、極端な例でいうと、この10年間がまるまる全額免除の期間であっても、将来年金を受給することができます(ただし、その場合の年金額は全額保険料を支払った場合の2分の1になります)。
なお、学生の場合は上記の免除制度ではなく「学生納付特例制度」のみ利用できます。ただし、この制度による保険料免除期間は将来の年金額には反映されません。
※収入要件の詳細は日本年金機構のサイト参照。
なおこの免除制度は、本人のみならず配偶者・世帯主も収入要件が問われます。
学生納付特例制度は、本人のみ収入用件が問われます。
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