“仲間はずれ、悲しい” 幼保無償化、朝鮮幼稚園など除外の方針
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保護者たちが内閣府などに要請
今年5月10日に改正「子ども・子育て支援法」が成立し、10月1日から幼児教育・保育無償化がスタートするが、朝鮮幼稚園、インターナショナルスクールなど、各種学校認可の外国人学校幼児施設だけが除外されようとしている。
政府が朝鮮幼稚園除外の方針を打ち出していることを受け、「すべての幼児に『幼児教育・保育の無償化』適用を求める要請の集い」が8月5日、東京・永田町の衆議院第二議員会館で行われた。7月10日に結成された「幼保無償化を求める朝鮮幼稚園保護者連絡会」(以下、連絡会)の主催だ。
連絡会の宋恵淑代表は、「幼児教育・保育施設が、認可・無認可と様々な設置形態をとっている実態があるなかで、なぜ各種学校だけが名指しで排除されるのか。朝鮮幼稚園は母語教育を中心に幼児教育を行い、しっかりとした保育の実態も備えている」と訴えながら、①各種学校の幼児教育・保育施設を無償化の対象として認めること、②上記施設を利用するすべての園児たちに、幼稚園並みの月2・57万円の無償化と、幼稚園預かり保育と同等の月1・13万円を加算する無償化を適用すること―を求めている。連絡会の3人の代表が内閣府、文部科学省、厚生労働省の担当者に要請書を手渡した。
会場には、2歳児の子どもを持つ朝鮮幼稚園保護者をはじめ、幼稚園の教員、校長、学園関係者、日本人支援者が集まり、立ち見が出るほどだった。
都内の朝鮮幼稚園に子どもを通わせている40代の女性は、「地方出身なので夫婦だけで子育てをしてきた。保育園にも入れなかった。朝鮮幼稚園の先生は親と同じように愛情と信念をもって育ててくれている。子どもの成長に合わせた保育内容、学芸会、運動会…日本の幼稚園と変わらないのに、仲間はずれにされることがとても悲しく、我慢できない。無償化は、すべての子どもたちが対象なのに、『あなたの子どもは仲間はずれだ』と言われたら、皆さんはどんな気持ちになりますか。仲間に入れてもらえるように検討してほしい」と訴えた。
田中宏・一橋大学名誉教授は、「外すためにではなく、認めるために知恵を絞ってほしい。官邸ともしっかり相談してほしい」と訴えた。要請の場には、初鹿明博、池田真紀の両衆議院議員、石川大我参議院議員(以上、立憲民主党)、はたの君枝衆議院議員(日本共産党)、高良鉄美参議院議員らが同席した。
初鹿衆議院議員は、関係省庁の担当者に対し、「保護者たちの切実な思いを理解してもらえたと思う。制度の対象になるような方法を考えてほしい。まずは現場を見に行きましょう。現場を見れば、あえてはずす理由はみつからないはずだ。持ち返ってほしい」と訴えた。