“朝鮮、在日の人たち知って―” 金剛山歌劇団長野県公演、連続64年目
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絶え間ない交流、築きあげた伝統
金剛山歌劇団2019アンサンブル・中南信地区公演「アリランの春~我らの願い 夢列車に乗せて~」が、10月4日、まつもと市民芸術館で行われ、下半期公演への口火を切った。公演には、総聯長野県本部の李光相委員長、朝鮮の自主的平和統一を支持する松本市民会議の小松清志会長をはじめ、県内の同胞、日本市民ら約800人が訪れた。また今回の公演は長野朝鮮初中級学校創立50周年を記念したチャリティー公演でもある。
長野県では金剛山歌劇団の前身である在日朝鮮中央芸術団が創立された翌年1956年から今年まで64年間連続で公演を開催し続けている。今年は松本市を皮切りに、長野市(10月5日)、上田市(10月6日)でも公演が行われ、今回で通算490回を数えた。75年から長野県での歌劇団公演開催に携わっている荒井宏行さん(66、松本市民会議・事務局長)は、「60年以上もの間、長野県で絶えず朝・日交流が行われているのはとても稀有なこと。日本の市民たちに文化芸術を通じて朝鮮、在日の人たちについて知ってもらいたいとの一心でこれまで関わってきた」と話す。
朝・日友好関係が地域に深く根づく長野では、公演への日本市民の関心が多く寄せられている。賛助広告、協賛金の大半が日本の企業や団体で、また毎年、公演には800~1000人の観客が訪れ、その9割が日本の市民たちだ。河舜昊・実行委員長(51)は「長野には金剛山歌劇団の固定ファンが多い。ファンの方々が横のつながりで多くの観客を連れきてくれるのも一つの特徴だ」と話す。また、昨年からはさらに多くの観客を動員しようと、青商会が「KMP」を実施。KMPとは、「가극단(歌劇団)満員プロジェクト」の意で、その頭文字をとって名づけられたもの。青商会会員が日本学校を訪ねて宣伝活動を行っている。
開演3時間前にも関わらず、会場には観客が次々と訪れた。会場内には長野初中オモニ会恒例の売店が場所をかまえ、キムチや餅、海苔などの食料品に、オリジナルのチョゴリアルバムやキーホルダーを販売。キムチは毎年売り切れ必至の人気商品だという。販売早々、売店には人だかりができていた。また、女性同盟中信支部メンバーたちが公演を控えた団員たちに手料理を振舞うのも長野の伝統だ。舞台裏にはボリュームいっぱいの料理が並んでいた。
公演に先立ち、長野初中の生徒たちによる舞踊とチャンダンが披露されると、会場からは温かい拍手が送られた。
公演の1部では、発展を遂げる朝鮮の姿が歌と踊りを通じて映し出され、2部では朝鮮民族の平和・繁栄・統一への思いが込められた数々の演目が披露された。観客たちは、舞台上に広がる華麗な踊り、会場内に響き渡る美しい歌声と楽器の音色に魅了されていた。
5年ぶりに公演を観覧したという髙橋博久さん(70)は「踊り、演奏、歌唱と素晴らしい芸術を体験できて感激だ。朝鮮半島の統一という力強い決意が随所に表現され、圧倒された。国同士の関係が悪くても、文化を通じて交流を深めていくことが大切だと感じた」と感想を話した。