【特別企画 】今日もだれかが声を上げる~私たちの教育、潰させない
広告
高校無償化の問題も解決されないままに、次は幼保無償化制度からも朝鮮学校が排除された。日本政府が弾圧を強め、民族教育を取り巻く状況が依然として深刻ななか、あきらめず活動することで連帯が広がってきた。今日もだれかが日本や海外のどこかで、朝鮮学校と子どもたちのために声を上げている。各取り組みを紹介する。
司法が下した「政治判決」/愛知無償化裁判控訴審判決・原告側が敗訴
愛知無償化裁判控訴審の判決言い渡しが10月3日、名古屋高等裁判所で行われた。
「本件控訴をいずれも棄却する。控訴費用は控訴人らの負担とする」
松並重雄裁判長が主文と要旨を読み上げる間、法廷内からは次々と批判の声が飛んだ。
「政治判決!」「恥ずかしくないのかね」「子どもをいじめないで!」「学校に一回来て! 見てから言ってよ!」「司法はどこ見てんのよ!」「最悪」「お粗末」「ちゃんとやれ!」―
裁判長は淡々と要旨を読み上げ、法廷を後にした。
結果は原告側敗訴。判決言い渡し後、日本各地や南から駆けつけた約300人の同胞、日本市民らは裁判所前で強く抗議した。
「울지 마!(泣くんじゃない!)」。泣きじゃくる愛知朝高生たちを励ますように人垣から女性の声が上がり、「声よ集まれ 歌となれ」の合唱が広がっていった。…
※裁判の詳報は、本誌HPにあるブログ「日刊イオ」(①はこちら、②はこちら)にも掲載されています。
幼保無償化 「朝鮮幼稚園にも等しく適用を」/要請、集会、会見―各地で懸命の訴え
日本各地の朝鮮学校附属幼稚班(以下、朝鮮幼稚園)を含む各種学校が除外されたまま、10月1日から「幼保無償化」制度がスタートした。制度施行を目前に控えた9月、朝鮮幼稚園関係者、児童保護者らを中心に関係府省、地方自治体への要請や抗議活動が連日のように行われた。
取り組みは制度施行後も続けられている。
①
「現場見に来て」「独自の救済措置を」
関係府省、自治体に要請
②
「あきらめず、声を上げよう」
東京、大阪で緊急集会
③
「マイノリティの教育権の観点抜け落ち」
外国特派員協会で記者会見
インタビュー・“外国人の子どもたちに光を”/近藤幹生・白梅学園大学学長と考える「幼保無償化」
近藤幹生・白梅学園大学学長(65)は、長年幼稚園、保育園に勤めながら、子どもの成長を見守ってきた。10月1日から始まった幼保無償化から外国人学校幼児教育施設が外されたことを、「子どもの育ち」の観点からどう考えればいいのか。保育の原点から考えた。…
こんどう・みきお
1953年東京都生まれ。信州大学教育学部卒業、聖徳大学大学院博士課程修了(児童学博士)。78年~2004年に長野県、山梨県、千葉県で私立保育園の保育士と園長を経験。2004~07年、長野県短期大学幼児教育学科専任講師。同付属幼稚園園長として勤務。07年より白梅学園短期大学保育科准教授、同大学子ども学部子ども学科教授を経て、18年より学長。著著に「保育園『改革』のゆくえ」(岩波ブックレット)、「保育とは何か」「保育の自由」(岩波新書)など多数。
朝鮮学校差別反対、海を越えて広がる実践/「ウリハッキョと子どもたちを守る市民の会」、「함께 할수 있는 방법(ともにできること)」探して
韓国の朝鮮学校支援団体「ウリハッキョと子どもたちを守る市民の会」(以下、市民の会)。結成は2014年6月。その精力的な活動で在日同胞にもなじみが深い。▼朝鮮学校や在日同胞の状況を広く知らせる、▼朝鮮学校に関心のある団体に対する講演などを企画、▼朝鮮学校差別反対、高校無償化適用を求める金曜行動、▼朝鮮学校訪問などを通じた理解の促進などの活動を標ぼうしている。
「市民の会」は安倍政権による幼保無償化からの朝鮮幼稚園除外問題が浮上してからは、《함께 할수 있는 방법은?》(ともにできる方法は?)と市民に呼びかけるリーフレットを作成・配布し、朝鮮学校差別反対に賛同する人びとを増やしている。リーフレットにはその方法の実例として、▼幼保無償化からの朝鮮幼稚園除外に対する糾弾声明に賛同すること、▼幼保無償化差別反対、安倍政権糾弾の「認証ショット」(証拠写真)投稿、▼1人リレーデモ、▼10月1日に日本大使館前で行われる糾弾記者会見に参加すること、の4つが提示されている。同会のFacebookページには、このキャンペーンと関連したさまざまな活動のようすが写真とともに随時アップされている。
活動は韓国内や日本を越えて、米国にも広がっている。…
子どもの未来、たぐりよせる―/第11回中央オモニ大会
第11回中央オモニ大会が9月21日、東京朝鮮中高級学校で行われ、日本各地から約750人のオモニたちが集まった。乳幼児期、学童期、青年期にいたるまで、わが子の「自立」に向けた悩みや葛藤を受け止める場になっているオモニ大会。今回は、子どもたちが生きていく「時代」、民族教育の権利擁護、子どもの心などをテーマに、午前に全体会合、午後には5つの分科会が行われた。実行委員は関東地方の30代、40代のオモニたち。企画は笑いあり、涙あり、怒りありで、各地の奮闘が伝わってきた。
●“歴史変える心意気で”
李柄輝・准教授 講演
全体会合では、朝鮮大学校文学歴史学部の李柄輝准教授が「愛する子どもたちの明るい未来のために」と題して提言を行った。
李准教授は同胞社会の現状について、「植民地宗主国での差別、長引く祖国分断により縮小を余儀なくされており、民族教育の場でも生徒数や学校数の減少が深刻だ」としつつ、「問題解決のためには、巨視的な構造を見て原因を探ることが大切だ」と指摘した。子どもの未来を展望していくためには、在日朝鮮人の生をがんじがらめにしてきた歴史的条件―①植民地主義、②東アジア冷戦、③朝鮮半島危機―を克服していくことが重要だとものべた。また、朝鮮解放後も日本政府は在日朝鮮人を権利保障の対象からはずし、治安対象として監視し、さまざまな圧力を加えながら「人間としてのあたり前の権利」を剥奪してきたと解説。朝鮮半島で平和統一に向けた約束がなされ、植民地主義の清算を求める機運が高まっている中、「同胞たちが歴史を転換させる主人公として立ち向かっていくことが大切だ」と主張した。…
●分科会レポート
①第5分科
民族教育を守ろう!
クイズと討論で「TO DO」探し
②第1分科
コミュニティの安心感を共有
③第3分科
ウリハッキョを考える
※分科会レポートは5分科のうち、3つのみ掲載しました。
大会の詳報は、本誌HPにあるブログ「日刊イオ」(①はこちら、②はこちら)に掲載されています。
以上は特別企画からの抜粋になります。全文ご覧になるには本誌をご覧ください。購読お申し込みはこちらへ。
Amazonでも取り扱いがあります。
https://www.amazon.co.jp/dp/B07XW6TJZB/