幼保無償化、各地で声上げる
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朝鮮幼稚園への幼保無償化適用を求めて、各地でさまざまな取り組みが行われている。街頭宣伝、署名集めに加えて、政党への要請も地道に続けられている。兵庫では、伊丹朝鮮初級学校付属幼稚班の公開保育に初めて市議会議員が足を運んだ(1月31日)。
文:編集部
△全国「朝鮮幼稚園にも無償化適用を」
各地で広がる署名運動
昨年12月から始まった、幼保無償化適用を求める100万人署名運動が各地で広がりをみせている。
広島では1月31日夕方に、広島駅南口で青年同盟(朝青)主催の街頭宣伝が行われた。朝青世代が中心となって新たな権利擁護運動を展開していこうと議論を重ねた結果、今年から独自の街頭宣伝を行うことが決まった。1回目の今回は、朝青広島で掲げた署名人数の目標1000人を達成するため、署名集めをメインにチラシ配りも行った。また、通行人に向けて、現場で働く朝鮮幼稚園の教員たちの声もアピールした。広島では今後も毎月第3金曜日に朝青独自の街頭宣伝を行っていく。
神奈川では1月23日、幼保無償化を求める神奈川保護者連絡会が主催して、県内の3ヵ所で街頭署名活動が行われた。総聯の専従活動家、地域同胞に加えて、神奈川朝鮮中高級学校高級部の生徒たちや日本人有志も街頭に立った。30~40代同胞も多く参加し、「私たちの未来は私たちが守る」と熱心に署名集めに取り組んだ。2月20日にも県内3ヵ所で街頭署名活動を行う予定だ。
ほかに、京都(朝鮮学校への「高校無償化」「幼保無償化」適用を求める火曜アクション)や兵庫などの地域でも街頭宣伝や署名集めが行われた。
△東京幼保無償化、「線引きしないで」
東京朝鮮学園が公明党へ要請
幼保無償化と関連した要請活動の一環として、東京朝鮮学園関係者らが1月27日、永田町の衆議院第二議員会館に公明党の高木美智代衆議院議員を訪ね、協力を要請した。東京朝鮮学園の金順彦理事長、李英順部長、「幼保無償化を求める朝鮮幼稚園保護者連絡会」の宋恵淑代表、朝鮮幼稚園の園児の保護者らが参加した。
西東京朝鮮第2初中級学校付属幼稚班に子を通わせる梁淳喜さん(36)は、「バックグラウンドは違っても、みな同じ子どもたち。でも社会的マイノリティだけが制度の線引きによって区別されている。その姿を見ると、親として悲しい気持ちになる」と切実な思いをのべた。
東京朝鮮学園の李部長は、「政府は朝鮮幼稚班を幼保無償化から除外する理由として『多種多様な教育』を挙げているが、多様性を受け入れてこそ社会が発展していくのではないか」とし、「子育て世代の生活の問題として考えてほしい」と訴えた。
高木議員は、学園関係者らの真摯な思いを受け、朝鮮幼稚園に対する各地方自治体の支援状況などについて朝鮮学園側に質問。「地方自治体との信頼関係を築き、地域レベルから徐々に支援の輪を広げていくことが大事だ」とし、幼保無償化問題への取り組みが「徐々に前進するよう、力になりたい」と語った。李永徳・朝鮮新報)
△兵庫市議会議員ら見学
伊丹初級付属幼稚班で公開保育
1月31日に行われた伊丹朝鮮初級学校付属幼稚班の公開保育に野党や無所属の伊丹市議6人、宝塚市議2人が訪れ、見学した。公開保育は「朝鮮学校を支える宝塚市民の会」が発案し、学校側が全面的に協力する形で実現した。市議らが同校幼稚班の授業を見学するのは今回が初めて。
髙橋有子・伊丹市議会議員(立憲民主党)は「小さい子どもたちが朝鮮語を上手に使い、生活していることが素晴らしい」と感想をのべ、「朝鮮語で授業が行われている以外は日本の幼稚園と一緒だし、幼保無償化制度から除外される理由も見当たらない。自分が見た朝鮮幼稚園の現状を幅広く知らせていきたい」と話した。
伊丹朝鮮初級学校の金幸一校長は「無償化が適用されず、幼稚園の保護者やこれから子どもを通わせようとする親からも不安の声が上がっている。この状況が一日も早く改善されるよう、協力をお願いしたい」と話した。兵庫朝鮮学園の金錫孝理事長も「政府が朝鮮幼稚園の子どもたちにも平等に権利を保障するよう、各自治体からも声を上げてほしい」と訴えた。
幼保無償化問題をめぐっては昨年、学校関係者や日本人支援者らが宝塚市役所(9月17日)と伊丹市役所(11月11日)を訪問。市長と面談し、市からの補助金を無償化の対象となっている幼稚園並みの月額2・57万円に増額することを求めた。12月13日には14の市民団体が連名で宝塚市長宛てに要望書を提出した。(丁用根・朝鮮新報)