納得の履き心地、オリジナルのフッドベッド／インコルジェ（東京都渋谷区）

by R.CHE · 公開済み 2020年3月24日 · 更新済み 2020年3月24日

靴の先が細くなっているので、すっきりとした履き心地を楽しめる。12800円（価格はすべて税抜き）

東京・代官山にインコルジェ２号店がオープンしたのは２０１９年10月。足に優しいコンフォートシューズを求め、女性たちが多く訪れている。柔らかい革素材に飽きの来ないデザイン、なんといっても履き心地がいい。長時間歩いても疲れないのは、自社開発のオリジナルフッドベッドの力だ。

社長の金錫東さん（55）は１９５９年、神戸で靴造りを始めたアボジの代を継ぐ２代目。先代が靴づくりを始めて50年間、主な販売先は問屋、通信販売、専門店などだったが、阪神・淡路大震災後に転機が訪れた。

「ある百貨店でドイツ製の靴を売っていたのですが、日本の靴に比べると靴底が立体的で驚きました。靴は、出っ張っているところに体重がかかる。そこで力を分散できるように作られていることに感動したんです」。「靴底＝平面」の常識が覆った。

インコルジェの定番。黒と茶色の２色展開。9800円

最近人気のバレエシューズタイプ。8800円

ヒールものは、3センチから7センチまでがある。すべてオリジナルフッドベッドを使用しているので、足への負担が少ない

この出会いに導かれ、金さんはドイツへ飛ぶ。「ドイツのものづくりの技術は目を見張るものでした。何より靴職人が社会の中で尊敬を集めていた。在日の私たちの場合、生活のために仕事をするという意味合いが大きかったので考えさせられました。ドイツの職人にはマイスターという地位があり、病人用の靴を作るのに保険が効くという話にも感動しました」

東京代官山店の内観

帰日後、一念奮起し、フッドベッド（靴底）の開発に乗り出した。裁断、内職、ミシン仕上げなど40の工程をこなす工場スタッフの努力で、以前とは違う靴造りに成功し、２００８年ついに自社ブランド「インコルジェ」を立ち上げた。勢いがついたのはその後で、神戸元町に店舗を構え、ネット販売も始めたところ、「お客様の声が直接に届くようになり、靴のデザインにも自社の色を出せるようになりました」。婦人ものがメインで、デザインは１５０種類を超える。甲高、幅広、外反母趾に悩む方にぜひ一度履いてほしい。