東京五輪、来年に延期
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どうなる、応援キャンペーン、選手選考/宋修日さんに聞く
2020年東京五輪(7月24~8月9日)が新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的流行により、2021年7月23日から8月8日までの日程に延期となった。東京五輪・パラ五輪に出場する朝鮮選手たちを応援する体連東京2020プロジェクト「RAM-HONG FLAG CAMPAIGN」の推進委員会の事務局長を務める宋修日さん(48、朝鮮大学校体育学部長、在日本朝鮮人体育連合会副会長)に、プロジェクトの今後や大会出場を目指す在日同胞選手の動向などについて話を聞いた。
―急転直下の延期決定となった。
新型コロナウイルス感染症が世界的にこれだけ流行している中、予定通りの開催は難しく、延期もやむなしだろう。
昨年3回、今年1回と東京五輪と関連して計4回訪朝した。今年1月の朝鮮側の関係者との協議では、東京五輪出場に前向きな姿勢と、一人でも多くの選手の出場権獲得へ向けて努力していこうという思いを確認できた。今回の延期も、朝鮮側からすればもう1年準備期間ができたと見ることもできる。さまざまな批判はあるが、来年の延期日程も決まった。2021年に向けて日程が決まったからそこから逆算してスケジュールを立てて、がんばるしかない。
―五輪出場を目指す在日同胞アスリートたちの今後は?
在日同胞選手で出場の可能性を残しているのは、水泳の李慧京選手と空手の宋尹学、高智蓮両選手をはじめまだ数名いる。空手は5月8日からパリで開催予定だった最終予選、9月のアジア選手権も含めてすべての大会が無期限延期となっている。
延期となって心配な点を挙げるなら、選手たちのメンタルをどう維持していくか。出場権を獲得するのは決して簡単ではないが、可能性が残る限り最後までチャレンジしたい。
―ボランティアとして大会に携わる同胞もいると聞いた。
朝大では5人の学生がボランティアに当選した。IOC本部、IPC本部が置かれるホテルに泊まる外国要人のアテンドだ。ボランティアの資格は延期後も維持される。朝鮮代表団につくことになれば申し分ない。
―昨年7月に始動した朝鮮選手応援キャンペーンはどうなる?
昨年夏以降、さまざまな競技で朝鮮選手団の来日が取りやめとなり、女子サッカーも予選不参加になって、キャンペーンを全面的に展開していくタイミングを逸した。
今年2月に開かれた体連の理事会では、キャンペーンを4月から本格的に展開していくことが決まった。すでにアンバサダーを任命し、エンブレムやテーマ曲も制作されている。適切な時期が来たら再始動したい。
―今後の展望は
感染がいつ終息するか、その展望が見えないと何も始まらない。事態が落ち着くのを待ってからさまざまな活動を再稼働させたい。まだまだ大変なことが多いが、今は選手たちと一緒に目の前のことからひとつひとつ取り組んで準備を進めたい。
予選の日程が組まれれば、朝鮮選手たちも動き出す。日本開催の試合に参加するかもしれない。朝鮮半島情勢の進展いかんでは、「統一チーム」結成の可能性も再浮上する。そうすれば応援キャンペーンにもふたたび火がつくだろう。準備期間がもう1年増えたと思って、朝鮮選手たちを歓迎する準備をしっかりしていきたい。
昨年3月の世界フィギュアに出場した朝鮮選手たちが埼玉の朝鮮学校を訪問したが、来年の東京五輪でも、あの時のような感動的な場面が再現されることを夢見ている。