【学ぶ権利を目指して】新型ウイルスにも負けず、幼保無償化訴え
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立憲民主党所属の愛知県議会議員らが3月5日、名古屋朝鮮初級学校付属幼稚班を訪問し、校長や保護者代表と懇談した。一方、新型コロナウイルスによる感染症拡大を受けて、街頭活動の一時休止が相次いでいるが、一部の有志らは個人や少人数での活動を続けている。
文:編集部
愛知県議ら名古屋初級幼稚班を訪問
「差別あってはならない」
立憲民主党所属の高木ひろし愛知県議らが3月5日、名古屋朝鮮初級学校付属幼稚班(名古屋市)を訪問した。県私学振興室と子育て支援課の担当者が同行した。当日は、新型コロナウイルス感染拡大への対応により、同幼稚班も休園中だったが、県議らは、預かり保育中の園児たちの様子や施設を見回ったのち、校長や保護者代表との懇談会に臨んだ。
参加した保護者たちは、高木県議と県の担当職員らに対し、朝鮮幼稚園に子どもを通わせている気持ちや、各種学校という理由で幼保無償化の対象から外された悲しみや憤りについて伝え、朝鮮幼稚園の無償化実現に向け尽力してほしいと訴えた。
県議らは保護者たちの発言に耳を傾け、朝鮮幼稚班への理解を示した。
一方、13日に行われた県議会県民環境委員会で、高木ひろし県議は、外国人学校における幼児教育の無償化について質問。高木県議は、多文化共生を積極的に推進する愛知県において「設置者の違いや、そこで学習する子どもたちの国籍の違いにより、差別や格差が生じることはあってはならない。外国人学校も無償化の対象とするよう県として国へ働きかけてほしい」と発言。さらに、今年度から国が行うとした無償化対象外の幼児教育類似施設を対象にした調査事業についてその内容を問うた。担当の私学振興室からは、「今のところ、文科省から要綱などが示されていないため、詳細はわからない」と返答があった。【愛知朝鮮幼稚園保護者連絡会】
東京幼保無償化、「外国人学校も対象に」
第二東京弁護士会が会長声明
第二東京弁護士会(関谷文隆会長)が3月17日、「外国人学校を『幼保無償化制度』の対象とすることを求める会長声明」を発表した。
2019年10月1日より幼児教育・保育の無償化(以下、幼保無償化)がスタートしたが、ブラジル人学校やインターナショナルスクール、朝鮮学校など各種学校の認可を受けた外国人学校の幼児教育・保育施設は、幼保無償化制度の対象外とされている。学校教育法第134条に規定する各種学校である外国人学校の幼児教育・保育施設が幼保無償化の対象とならない理由について日本政府は、「幼児教育を含む個別の教育に関する基準はなく、多種多様な教育を行っており、また、児童福祉法上、認可外保育施設にも該当しないため」「法律により幼児教育の質が制度的に担保されているとは言えないこと」などを挙げている。声明はこれらの事実に触れながら、「各種学校である外国人学校の幼児教育・保育施設は学校教育法第134条に基づき各種学校としての認可を受け、各都道府県知事の監督に服しながら幼稚園や保育所に相当する幼児教育ないしは保育を行っており、学校教育法によって教育の質を制度的に担保されている」と指摘。また、「多種多様な教育を行っていることは幼児教育の質とは別次元の問題であり、外国人学校を幼保無償化制度の対象外とする合理的な理由とはいいがたい」とのべた。
声明は、「『全ての子どもが健やかに成長するように支援する』という子ども・子育て支援法の基本理念に照らせば、各種学校の認可を受けた外国人学校の幼児教育・保育施設も同制度の対象とすべきであり、外国人学校が各種学校であることを理由に同制度の対象外とすることは、合理的理由のない差別であり、憲法第14条(平等原則)、差別的取扱いを禁止した社会権規約第2条2項、自由権規約第2条1項、子どもの権利条約第2条1項および人種差別撤廃条約などの国際人権諸条約に反する」とした。
そのうえで声明は、各種学校の認可を受けた外国人学校の幼児教育・保育施設を幼保無償化制度の対象とする法改正を求めた。また、法改正が実現するまでの間の当面の措置として、各種学校の認可を受けた外国人学校の幼児教育・保育施設が同制度の対象となる他の幼児教育・保育施設と同様の支援を受けられるよう、必要な措置を取ることを求めた。
一人でも声上げる
各地で街頭行動
新型コロナウイルスによる感染症拡大を受けて、高校無償化、幼保無償化適用を求めて日本各地で行われている街頭行動も相次いで休止となっている。その一方で、一部地域では個人や少人数での活動が続けられている。
大阪府庁前での街頭アクション「火曜日行動」は、2月25日の回を最後に休止が続いているが、一部の有志は独自に活動を続けている。3月17日と24日、大阪府庁前に数人が集まり、朝鮮学校無償化除外反対、幼保無償化除外反対を訴えた。
「火曜日行動」の常連参加者の一人である森本忠紀さん(奈良県在住)は3月17日と24日、近鉄大和高田駅前で一人行動を行い、「各種学校の外国人学校への幼保無償化適用を求める署名」を集めた。
京都市内で行われている「朝鮮学校への『高校無償化』『幼保無償化』適用を求める火曜アクション」は約3週間の休止を経て3月24日に一旦再開。参加者らは一新したリーフレットとポケットティッシュを配りながら、無償化適用を求める署名への協力を呼びかけた。
その後、「火曜アクション」は4月末までの休止が決まった。