この種目初のメダル獲得を/Vol.6 パン・チョルミ
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Vol.6 女子ボクシング パン・チョルミ(25)
1994年8月26日、平安北道定州市生まれ。人民体育人
過去の主な戦績
2017年ウランバートルカップ国際ボクシング大会:優勝
2018年AIBA世界女子ボクシング選手権:優勝
2018年アジア競技大会:準優勝
2019年ASBCアジア選手権:優勝
2019年AIBA世界女子ボクシング選手権:3位
文・写真:金淑美(朝鮮新報)
安定感のある強さから、東京五輪での金メダリスト最有力候補との呼び声も高い。
女子ボクシング・フライ級(51kg)のパン・チョルミ(金剛山体育団)。典型的なファイタータイプで、連射砲のように繰り出すパンチが得意技だが、カウンターセンスも兼ね備える。
WBC(世界ボクシング評議会)が設立した女子の世界統一機構・WBCFが2005年6月28日に平壌で開催した大会で、WBCF世界バンタム級の初代チャンピオンとなったキム・グァンオクの試合を見た当時11歳のパンは、かのじょに憧れてボクシングを始めたという。
両親は「女の子がボクシングなんて…」と止めたが、パンは「私もキム・グァンオク選手のようにボクシングで成功したい」と両親の反対を押し切って平安北道の定州市青少年体育学校のボクシングクラブに入所した。その後、16歳で金剛山体育団に入団してから頭角を現し、数々の国内大会で優勝、高い潜在能力を周囲に示した。
初めて世界王者となった2018年のAIBA(国際ボクシング協会)世界女子選手権では、準々決勝、準決勝、決勝すべての試合で5—0の判定勝ちし、圧倒的な強さを見せつけた。続く19年4月のASBC(アジアボクシング連盟)アジア選手権でも優勝。国際大会で着々と実績を積む娘の姿に、今では両親も「五輪で金メダルを獲得してこそ堂々と胸を張れる。決して今の成績に満足してはいけない」と厳しくも温かいエールを送っている。
昨年10月のAIBA世界選手権では惜しくも3位に終わったが、来年に延期となった東京五輪に照準を定め、トレーニングに励んでいる。「パンチの正確性、俊敏性を高めて、得意技をいっそう磨いていきたい」(パン)。
女子ボクシングが五輪の正式種目となったのは2012年のロンドン大会から。この種目で朝鮮初となる五輪メダリスト誕生なるか—。パンの双肩にかかる朝鮮女子ボクシング界の期待は大きい。