絶対的エース、五輪3連覇目指す/Vol.7 女子重量挙げ リム・ジョンシム
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Vol.7 女子重量挙げ リム・ジョンシム(27)
1993年2月5日、平壌生まれ。労働英雄、人民体育人
過去の主な戦績
2012年ロンドン五輪69キロ級:優勝
16年リオデジャネイロ五輪75キロ級:優勝
18年アジア競技大会75キロ級:優勝
19年アジア選手権76キロ級:優勝
19年世界選手権76キロ級:優勝
文・金宥羅(朝鮮新報)
2012年ロンドン五輪69キロ級、16年リオデジャネイロ五輪75キロ級で五輪2大会連続優勝をなしとげたのをはじめ国内外で輝かしい実績を残してきた朝鮮女子重量挙げの絶対的エース、リム・ジョンシム(27、機関車体育団)。昨年のアジア選手権で2つの世界新記録を樹立し、金メダルを獲得。同年の世界選手権でもスナッチで世界新記録を塗り替えて初優勝を果たした。
リムが重量挙げを始めたのは10歳の頃。04年アテネ五輪で銀メダルを獲得したリ・ソンフィの活躍をテレビで見たことがきっかけだった。平壌市の青春通りスポーツ村の青少年体育学校に通い、15歳で国内の48キロ級を制す。機関車体育団に入団後、10代でロンドン五輪を制し、世界の頂点に立った。
人並外れたフィジカルと競技センスに加えて、「不屈の精神力」がリムの持ち味。その精神力の強さを表すエピソードがある。
リオ五輪への出場権をかけた2015年世界選手権。75キロ級に出場したリムは、3度目のスナッチの試技中に負傷。医師の診断は「左股関節脱臼」。痛みで腰を回転させることができず、医療陣からは出場を控えるよう勧告が出されたが、あきらめなかった。渾身の力を振り絞ってクリーン&ジャークで150キロを持ち上げるも、直後に倒れる。両脇を抱えられ控室に戻ったが、その後、再び競技場に姿を現した。2度目の試技で155キロに成功した後、ふたたび倒れたが、観客の声援に後押しされ、3回目の試技に挑んだ。負傷をおして最後まで競技に臨んだリムはスナッチ125キロ、クリーン&ジャーク155キロ、トータル280キロを持ちあげ、準優勝。五輪出場権を獲得した。
翌年のリオ五輪。世界はリムの復活劇を目の当たりにする。スナッチ121キロ、クリーン&ジャーク153キロ、合計274キロを上げ、朝鮮にこの大会初の金メダルをもたらした。
次に挑むは2021年東京五輪。朝鮮のアスリートとしては史上初の五輪3連覇がかかっている。