発見、発揮! 民族教育の潜在力/朝鮮学校で実施されたオンライン授業
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新型コロナウイルスの感染拡大による全国一斉休校要請を受け、日本各地の朝鮮学校も臨時休校を余儀なくされた。現場ではこの事態にいち早く対応するため、民族教育の蓄積とネットワークを総動員して4月から独自のオンライン授業をスタート。また、各学校の現状に合わせて新たなオンラインの取り組みも数多く生まれた。実践と経験を紹介する。
利点を生かし、力を合わせ
配信されたのは初級部各学年の国語(朝鮮語)、算数、日本語、そして中高級部各学年の国語、数学、英語、日本語。配信は土日を除いた週5日だ。
京都朝鮮初級学校の教務主任を務める金成哲さん(47)も協力要請を受け、初級部3年生の算数のうち「곱하기(かけ算)」や「원과 구(円と球)」に関する9つの授業を作った。
「初級部の算数はタイルや棒など、手を動かし物を使って理解させる場面が多い。一方的に式を教えるだけではダメで、その点をどう解決するか悩んだ」。児童たちと同じ空間で学んでいる雰囲気が出るよう進行に気をつけたり、リンゴや発泡スチロールを実際に切ってみせたり、ビデオカメラの角度変更やズームを効果的に利用するなど伝え方を模索した。
「他の地方に暮らす同級生から『うちの子どもが楽しんでみてるよ』と電話が来て、安心しました」と金さん。京都初級では他にも、初級部1年生の担任教員が独自に国語の授業を作成するなど意欲的にオンライン授業の取り組みを進めた。
一方、中高級部・国語科目の中央分科長を務める尹紀純さん(47、神奈川朝鮮中高級学校教員)も、分科委員の教員らと協力しながら授業を準備。分量の多い小説教材はオンラインでは扱わず順番を調整するなど、臨機応変さが求められる日々。「科学的な検証が少ないまま配信された動画もあります。今後またこういう機会があるなら改善したい」と課題も見えた。
配信型オンライン授業はもともと、各朝鮮学校の実情に合わせて自由に活用してほしいとの趣旨で準備されたもの。しかし環境整備の面で、一部の朝鮮学校では導入できない例もあった。こちらも今後、改善すべき課題だろう。
尹さんは、すべての朝鮮学校で一律的な環境が整えば、この取り組み自体は新たな可能性を開くだろうと語る。「分からない部分は何度も再生できるので、“自分で学習する方法”を習得することができる。一人ひとりの理解程度に合わせて応用がきく、いい教材資料になるのでは」。…
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